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黒田勇樹 脚本/演出 舞台「ラフ・レターズ」稽古初日インタビュー(特集)

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2021年11月24日~28日まで日暮里d-倉庫で上演される、黒田勇樹が脚本/演出の舞台「ラフ・レターズ」。本作の稽古初日に伺い、上演に対する意気込みやコロナ禍での舞台について、さらにはこの状況下で自身が経験した「生と死」について、黒田氏に語ってもらった。


舞台「ラフ・レターズ」
稽古初日

2021年11月24日~28日まで日暮里d-倉庫で上演される舞台「ラフ・レターズ」。

この作品の脚本/演出を手掛ける黒田勇樹氏に話を聞く為に、稽古日初日に伺った。

台本を手に、本読みに集中する役者さんたちは、総勢17名。

しかし、この初日の稽古以降11月18日まで全員が練習の場に揃う事は無いとの事。もちろんコレは、新型コロナウイルス感染症対策の為だ。

本来であれば稽古には全員が参加し、舞台全体の流れや演出家の意図を理解をするのが常だが、それが許されない状況の為、脚本及び演出の黒田氏は初日から細かい指示を出していた。

公演概要

あらすじ

「俺たち、こんなに馬鹿だったっけ?」

最近ではすっかり疎遠になっていた仲良し5人組の元に「14才の自分」から「書いた記憶の無い手紙」が届き始めた。

誤字脱字は勿論、ほとんどがくっだらない内容の笑える手紙なのだが、何かがひっかかる。それをきっかけに久しぶりに集まった5人は、遠い記憶の向こうにある“とある女の子との約束”を、思い出すことに…

黒田勇樹
インタビュー

コロナ禍での稽古や芝居について

今回出演する役者さんたちは3名を除き、いずれも初めて黒田氏と一緒に舞台を作る人々ばかりと言う。

とは言え皆さんそれぞれ経験のある人たちばかりだ。

そんな彼らに「初めまして」で演出をつける事や、初日の手ごたえについて、まずは聞いてみた。

稽古の最初に「ウチの稽古場は『謝らない、質問しない、愛想笑いしない』」って言うルールを言ったんですよ。

イレギュラーな練習スタイルで、かつ稽古期間も余り取れない状況で、クオリティを落とさずに公演を行う為には、本当は嫌われたくないけど、嫌われてでも皆の前に立ちはだかるしかないと思って、言いました。バトルロワイヤルの北野武さんが演じた教師キタノみたいに。

黒田勇樹

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、4つの公演が中断や延期となった黒田氏。

さらに今年2021年8月に予定されていた舞台が、通し稽古までしていたにも関わらず中止となった。これは思っていた以上の大きな精神的ダメージを彼は受けたそうだ。

そんな経験を経ての今回の舞台。

稽古や芝居を上演する事に対する黒田氏の意識は変わったのだろうか?

誰か1人熱が出たら明日会えなくなるから、1分1秒たりとも無駄な時間を過ごさない稽古場にしたいと思っています。

少なくとも「あの稽古場に居たことが良い経験だった」と言ってもらえるような。

第1段階として「良い経験が出来た稽古」、次に「それが上演できる喜び」、最後は「それをお客さんが観て、楽しんでくれる事の嬉しさ」。この3つが体験できる舞台でありたいなと。

もし何かあって、第1段階だけで終わってしまったとしても、悔いの無いように。

その為にギャーギャー言ってます。

確かに稽古初日、台本を手にしたばかりの役者さんたちに、それぞれの役柄や役柄同士の関係をセリフを通して説明をしたり、繰り返し同じ場面を読ませ、言葉のテンポやトーン、セリフの一言一句が聞こえる/聞こえないまでも黒田氏は細かく指示していた。

しかし、逆に役柄を深める事については、それぞれが稽古場に来ない時間の中で掘り下げていく様に伝えてもいた。

これは、このコロナ禍における状況で彼なりに考えた新たな演出方法なのだろう。

「明日会えるかどうかわからない」がリアルになった世界で…

今回も黒田氏は、演出だけではなく脚本制作も手掛けている。

そこで、非日常が日常化したコロナ禍において、黒田氏が考えるストーリーや、脚本は変わったのか質問をしてみた。

俺はコロナ禍になってから、コメディしか書いてないんです。

溢れてるから。「ウイルスのせいで俺たちの生活は…」とか、「演劇がダメになった」とか。そう言う芝居も多いし。だから俺くらいはバカみたいなコトだけやろうって、逆に意識はしてます。

俺は舞台は非日常であるべきだと思ってるから。だから忘れる様に、そう言う現実の状況を思い出すような、悲壮感が漂っちゃうワードは脚本を書く時は外してますね。

2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染拡大だけではなく、結婚、そして子供を持つことも黒田氏は経験した。

そう言ったプライベートな状況も、脚本を書く事に影響しているのか?踏み込んで聞いてみた。

近くに綺麗な眼があるって、その瞳に見せたいものを作ろうと思うから、スゴイ素敵な時間。

まだ1歳3ヶ月ですけど、自分の作った芝居を子供に見せたりしてますもん。

わかるかどうかはわかんないけど、でも真剣に見てたりするので「あぁ、こう言うのに興味あるんだ」とか思ったりしますし。

2020年初頭から2021年半ばまで、新型コロナウイルスが感染拡大し、医療を始め様々な場所や人々が影響を受けた。

黒田氏も生まれたばかりの子供とは当初 病院のガラス越しかつ、わずかな時間しか対面できず、結婚した奥様とも彼女が出産のために帰省していたご実家に高齢者がいる事から、一緒に生活する事も叶わず。

さらに言えば、黒田氏のおばあ様が93歳で他界し、コロナ禍の中で様々な手続きに奔走もしたとの事。

そう言う意味では劇作家として、生と死も含めて、この状況下で起きた様々な事を隅から隅まで見て、経験してやろうと、黒田氏は思ったそうだ。

俺、突然「墓」と「嫁」と「子供」が出来ましたからね(苦笑)

コロナだからと言って
品質は落としたくない

プライベートでの様々な経験、そしてコロナ禍での経験も踏まえ、今回の舞台では新しいアプローチでの演出方法にチャレンジする黒田氏。

練習期間も短く、役者さんが全員集まる機会も少なく、場面 場面での稽古しか出来ない状況ではあるが、それを理由に品質=クオリティを落とす事は絶対にしたくないと言う。

今回の「ラフ・レターズ」を上演する日暮里d-倉庫は、残念ながら2021年12月末に閉館しちゃうんですよ。

天上の高い、スゴイ素敵な劇場なんですけど。だから高さを使いたいなって思って、階段を走り回る演出を入れちゃいました。練習ができないとか言ってる割に、階段を使う芝居を入れると言う。美術さんにも発注しちゃって。

だから…コロナ禍ではあるし、それによっての色々な制限や状況もあるけど、舞台自体は感染対策も含め安全対策を万全に、クオリティは落とさず、お客様に以前と同じように楽しんで頂ける芝居を提供したいなと。

舞台「ラフ・レターズ」はコメディかつ、ノスタルジー、そして「手紙」がテーマの舞台だと言う。

経験豊かな役者達と、黒田勇樹が作り上げる新たな世界。

世俗では様々な事が日々起きてはいるが、それらの事をひと時 忘れて、彼らが作り出す世界に浸ってみては如何だろう。

この作品は、久しぶりに劇場に来た人が「あぁ、やっぱり来てよかったなぁ」と思う様な、温かいモノにしたいなと思っています。

黒田勇樹

舞台「ラフ・レターズ」Website
http://vacar.co.jp/stage_248.html

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おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/