映画を語る配信番組「活弁シネマ倶楽部」に、映画『Winny』の松本優作監督と、主演の東出昌大、三浦貴大が登場。キャスティングを含めた企画・製作の経緯や、本作のクリエーションに関することなど、映画本編の裏側を語り尽くす。番組MCは文筆家の折田侑駿が担当。
映画『Winny』
映画『Winny』は、かつて日本で実際に起きた「Winny事件」の顛末を映画化したもの。
「Winny」とは、金子勇氏(ハンドルネームは47氏)が開発したファイル共有ソフトで、インターネット上で繋がった複数のパソコンでファイルを共有する分散ファイルシステムの技術を使用したソフト。
金子氏が電子掲示板サイト「2ちゃんねる」上で「Winny」を公開すると瞬く間にユーザーは増え、その匿名性の高さから、映画やゲーム、音楽などのデータが許可なく流通。著作権侵害の温床だとして、社会問題になった。
開発者の金子氏は著作権法違反幇助の容疑をかけられて逮捕されてしまったが、彼はただソフトを開発しただけ。
金子氏の無罪と警察の不当逮捕を訴えるため、壇俊光氏らによる弁護団が結成。本作ではこの一連の闘いの様子を描き、未来の技術者たちの背中を押す作品となっている。金子役には東出が、弁護士の壇役には三浦が配された。
2023年3月10日 全国公開
上映時間 127分 / カラー / 5.1ch
Website
https://winny-movie.com/
あらすじ
2002年、開発者・金子勇(東出昌大)は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「2ちゃんねる」に公開する。
彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出し、次第に社会問題へと発展していく。
次々に違法コピーした者たちが逮捕されていく中、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。
サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、金子氏逮捕の報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり弁護団を結成。
金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう……。しかし、運命の糸が交差し、世界をも揺るがす事件へと発展することになる。
なぜ、1人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか。本作は、開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした物語である。
キャスト 他
監督:松本優作
出演:東出昌大、三浦貴大、皆川猿時、和田正人、木竜麻生、池田大、金子大地、阿部進之介、渋川清彦、田村泰二郎、渡辺いっけい、吉田羊、吹越満、吉岡秀隆
2023年3月10日 全国公開
上映時間 127分 / カラー / 5.1ch
Website
https://winny-movie.com/
活弁シネマ倶楽部
2023年3月14日公開された「活弁シネマ倶楽部」には、映画『Winny』の松本優作監督と、主演の東出昌大、三浦貴大が登場。番組MCは文筆家の折田侑駿が担当。
トークではまず折田が、映画公開を目前に控えた三者に現在の心境を問いかけるところからスタート。
松本監督は「率直に言って、ドキドキしています。ただ、自分たちができることのすべてをやったつもりなので、自信を持って、たくさんの方に観ていただきたいなと思っています」と述べる
そして三浦が「映画なので、たくさんの人に届くといいな思います。自分としては、実在した事件と人物を演じるということで、非常に難しい部分もたくさんありました。どういうふうに観てもらえるのか、楽しみであり、怖くもある」と続けた。
東出は「僕はこの現場中、テーマめいたものは考えていませんでした。とにかく金子さんになること。それは(三浦さんが)壇先生になることも一緒ですよね。いい映画を届けたい一心でやりきって、仕上がった作品を観て『面白い映画になった』と思えました」と語る。
本作に対する感想とともに、折田が「こういった社会派の作品を20代の監督が撮ることができたというのが、松本監督ご自身の才能ももちろんですが、それを実現できる環境があることが希望だなと思いました」と口にすると、「僕は自分より若い監督とご一緒するのが初めてだったんですけど……いらっしゃるんですね。変な話、年齢じゃないんだなと。でもまだ若い分、体力もあって現場でもハツラツとしていらしたので、これからもいっぱい撮っていくだろうし、撮っていただきたいと思います」と東出が自身の気持ちを述べる。これに監督は「恐縮です」と苦笑。
キャスティング
東出、三浦へのオファーの理由を松本監督が話す。
「金子さんに関しては、神秘的な人だという印象が強くありまして。それを誰が演じられるのか考えたときに、東出さんのことが頭に浮かんだんです。東出さんの持っているものと金子さんの持っているものが、自分の中でリンクしたんです。壇さんはこの物語を動かしていく存在で、これは彼の視点を通して描かれていく作品でもあります。なので、すごく難しい。三浦さんの出演作を拝見してきた中で、壇さんのように、いろんなバランスを見ながら前に進めていく力の優れている方だと感じていました。そして、柔軟性も持たれている。このお二人なら、金子さんと壇さんの友情が描けるのではないかと思ったんです」
ここまでのトーク内容は全体のほんの1部だ。作品の題材として実際に起きた事件を扱うことや、実在する人物を演じることの困難、それらを実現するために実践したことを3者が明かしているほか、それぞれにとって映画とは何なのか、演技というものは何なのか、といったところにまで言及している。
活弁シネマ倶楽部 Website
https://katsuben-cinema.com/
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