詩の創作・朗読と文筆活動を軸に「ことばの力で、こころの振れ幅を表現する」ことに取り組み続けている伊東友香が、2023年6月8日 詩集「神さまのいない場所で」を発刊した。Onigiri Mediaでは、彼女にテキストインタビューを実施。本作の紹介と併せてご紹介する。(特集)
伊東友香 とは
学生時代より詩・童話・エッセイなどを書き始める。
2003年5月 五十嵐はるみ「Beautiful day」の作詩を担当(Album「Marbles Chat」収録)
2004年11月 初の詩集「寂しがりやのひとり好き(アクセスパブリッシング)」を発刊。OLとして働きながら執筆活動をする伊東ならではの視点で、恋・仕事・自分と格闘する、前向きな女性たちの心の声を代弁。
2005年7月 ポエトリーリーディングとクラシック音楽のコンピレーションアルバム「ARIA」をコロンビアミュージックエンタテイメントよりリリース。
2006年5月 リュ・シウォン「流れ星」の作詞を担当(Album「ASIAN BLOW」収録)
2007年5月 リュ・シウォン「僕の天使」の作詞を担当(Album「woth you」収録)
テレビ番組「イイコト(TVK)」でパーソナリティを担当。
他著書に、詩集『クロネコを撃ち殺したくなったら』、絵本『おなかがすいた』『クロネコちゃん』がある。
詩の創作・朗読と文筆活動を軸に「ことばの力で、こころの振れ幅を表現する」ことに取り組み続けている。
「にほんご」の奥深い魅力を探るテレビ番組ホスト、ラジオ番組パーソナリティ、音楽アーティストへの詞・詩の提供、繊細な生演奏とのコラボレーションで聴き手の想像力を掻き立てるポエトリーリーディングのライブ…。
ジャンルやフィールドはさまざまだが、彼女オリジナルの視点で「ことば」と「こころ」にこだわり「表現」し続けるという意味で、どれも伊東友香の顔である。
「寂しいけど一人でいたい。」
現代に生きるということは、決して「白・黒」「イエス・ノー」で切り分けられない複雑に絡み合った問題を背負っているということに他ならない。
伊東友香は、ある時はそれらを丁寧にひも解いて差し出し、またある時はこんがらまったまま、「矛盾を矛盾として」豪速球で投げつけてくる。
そういった作風・モノゴトの切り取り方に共感する人々が増え続ける。
Website
https://yukaitoh.net/
詩集
神さまのいない場所で
誰に愛されたいんだろう 自分に愛されたかった(「自己肯定感」)
そうつぶやく著者が、自分を愛せるようになるために、胸の裡からこぼれ出た想いをそのまま綴った56篇の詩。
その言葉たちは、どうでもいいことばかりの日常に、救いをもたらしてくれる。
リリー・フランキー
https://www.chuko.co.jp/tanko/2023/06/005660.html
ここにある言葉は、歩いてやってくる。そして気がつけば、心の椅子の隅っこにひざを抱えて、座ってる
藤原新也
だれも気づかない底なしの哀しみからこぼれ落ちる慈しみの水滴
鈴木涼美
残された者の引き受けた孤独にこそ、神様は宿るのかもしれない
- タイトル
「神さまのいない場所で」 - 著者
伊東友香 - 初版刊行日
2023年6月8日 - 判型 / ページ数
四六判変型 / 80ページ - 定価
1320円(税込) - 出版社
中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/tanko/2023/06/005660.html - ISBNコード
ISBN978-4-12-005660-4
あとがき より
そこかしこに、言葉は溢れているけれど、しっくりとは噛み合わない。
言葉にならない想いを言葉にする、それが詩なのかもしれない。
心のまんまを書けたら、救われる気がする。
伊東友香 「神さまのいない場所で」 あとがき より
伊東友香
テキストインタビュー
ーー伊東さんが 詩・童話・エッセイなどを書き始めた「きっかけ」はなんでしょう?「きっかけ」となった作品や、作家さんはいらっしゃいますか?
気付いたら落書きみたいに子供の頃から書いてました。きっかけとなったかはわかりませんが、一番詩を必要としたのは中学1年で父を亡くした時。手紙みたいに毎日書きましたね。
思春期には中原中也を読んで、汚れちまった悲しみにってなんかわからないけどわかる…と思いました。
ーー楽曲の作詞なども伊東さんは手掛けられていますが、伊東さんにとって歌詞と詩の違いはありますか?
詩はただただ自分からわきあがるものですが、歌詞は曲を先に頂くので、メロディーを聞いて浮かんだ言葉をヒントに主人公やストーリーを想像しながら書きます。
文字数が制限されている分、奥行きが大事なのでドラマ仕立てにシチュエーションを考えます。最近作詞の仕事はめっきりないのでまたやりたいです。
ーー最近の楽曲で気になった歌詞や、言葉、またはお気に入りの歌詞や言葉はありますか?
「それでも振り返ってみれば、毎日は“いとをかし”なんだよ」荒木経雄
最近、こちらを噛み締めて、嫌なことがあっても笑ってます。
参考サイト:「毎日がつまらない…」五月病に悩む大人にこそ“天才写真家”の言葉が刺さるワケ・日常を面白くする天才アラーキーの名言(現代ビジネス 2021.06.01)
ーー詩集「神さまのいない場所で」のあとがきに「言葉にならない想いを言葉にする、それが詩なのかもしれない。」とありますが、言葉にならない想いを言葉にする時、気をつけている事などはありますか?
私はMCの仕事をやらせて頂いているのに申し訳ないのですが、話すのが得意じゃないんです。
どこかで誰かが言ってることをリピートしてるだけの気がして嫌悪感を覚えるときさえあります。
なので、詩だけは本当に心の底から思ってることを書きます。少しでも心の色合いと違ったら嫌なんです。ぴったりくると落ち着くし心の在りかがわかって安心します。
ーー最近「短歌」がブームとの事ですが、「詩」と「短歌」の共通する部分、違い、または伊東さんが、この「短歌」ブームについて思う事などあれば教えて下さい。
参考サイト:空前の“短歌ブーム”は何映す 令和の歌に託した思い(NHK クローズアップ現代 2023年3月14日)より
面白い!下の句を変えて展開させて行くとかSNS時代特有の速度感があって最高ですね。
ただ、私はリズムも自分で作りたいし(文字数を気にしたくない)まずはひとりでこっそり詩を書きます。
ーー最後に詩集「神さまのいない場所で」をこれから読む人、または読んだ人にメッセージ等があれば、お願いします。
人はままならない不確かでささやかなもの。
幸せだとか、美しいとか、お金があるとか、人に迷惑を掛けないとか、
一見正しそうなことを押し付けてくる世の中じゃ、苦しくもなります。
「本当はそんなことないんじゃないの!?」と、一緒に肩寄せ合えたらと願ってます。