2025年4月29日に開催する「羽田盃」にあわせて、4月18日にNAR(地方競馬全国協会)のYouTubeで公開、関東/関西/北海道(一部地域を除く)で放映開始となったTVCM「ダート新体系 可能性篇」。ナレーションを俳優の市原隼人が務め、楽曲には藤巻亮太の新曲「新しい季節」を起用した本作の収録時裏話と、2人の特別インタビューが公開された。
Contents
ダートグレード競争とは
ダートとは英語の dirt のカタカナ表記。泥や土を意味し、競馬では土や砂が細かく敷かれた走路のことを意味する。(ダートコース / ダートトラック)。

日本の競馬は、芝の中央競馬、ダートの地方競馬、という2本立てで発展してきた。
かつての中央競馬では、ダートは芝の補完的な位置づけとして行われていたためダート重賞はほとんど行われておらず、ダートが得意な馬にとっては不遇の時代だった。
しかし中央・地方の交流がすすんだ今、ダート馬にも活躍の舞台が広がり、ダート馬の能力が芝と同様に評価される時代になった。
日本の競馬は歴史的な経緯から、中央競馬と地方競馬が長い間、別々のものとして行われ、ごく限られたレースを除き、馬のみならず、騎手や調教師も中央と地方でほとんど交わることがなかった。
しかし走っているのは同じサラブレッド。牧場で生を受けた段階では中央も地方もない。
その中央・地方の間にあった“カベ”に風穴が開けられたのが、“交流元年”と言われた1995年。さまざまに交流が進み、そのひとつにダート交流重賞があった。
地方競馬で行われていた主要重賞競走に中央馬が出走できるようになり、また中央のダート重賞に地方馬が出走できるようになった。
そして97年度、中央と地方のダート交流重賞に共通の格付けが行われ、“ダートグレード競走”となった。ダート馬に活躍の場が広がったことによって日本のダート競馬のレベルは格段にアップすることになった。
NAR (The National Association of Racing)
Websiteより
https://www.keiba.go.jp/dirtgraderace/whatisdirtgraderace.html
TVCM /
ダート新体系 可能性篇

ダート三冠の1つ「羽田盃」が2025年4月29日に開催される。
これに併せて4月18日よりTVCM「ダート新体系 可能性篇」が、関東/関西/北海道(一部地域を除く)で放映開始、NAR(地方競馬全国協会)のYouTubeでも公開された。
ジャパンダートプライド
2025年特設サイト
https://www.keiba.go.jp/japandirtpride2025/

本CMで紹介されている「新ダート競走体系」とは、「3歳中距離路線」における3歳ダート三冠競走の創設:中央競馬・地方競馬の所属の枠を超えた3歳ダートチャンピオンを決定する全日本的な競走体系の構築という観点から、「羽田盃」および「東京ダービー」を新たにダートグレード競走として実施。また、ジャパンダートダービーは「ジャパンダートクラシック」へ改称し、10月上旬に時期を変更などに加え、2024年から実施してきた「3歳短距離路線」「古馬中距離路線」「古馬短距離・マイル路線」「牝馬中距離路線」それぞれダートグレード競走の新設や、実施時期・競争距離・出走資格などの見直しを意味する。
新ダート競走体系 特設ページ
https://www.keiba.go.jp/dirtgraderace/newroad/local.html
TVCM「ダート新体系 可能性篇」でナレーションを務めるのは、俳優の市原隼人。楽曲には、藤巻亮太の新曲「新しい季節」が起用されている。
ダート新体系 可能性篇
動画
CMナレーション
収録秘話
現場入りし、関係者1人ひとりに笑顔を見せながら、深々と挨拶する市原さん。
監督から説明を受ける場面では、「胸に響かせたい」という監督のディレクションに対し、「物語やドラマを伝えるようなイメージでやってみます」と、真剣にイメージのすり合わせをしていく様子がありました。
市原さんが録音室に入り、発声練習をすると、その圧巻のボイスに関係者全員が納得の表情。収録では、原稿を握りしめ、身振り手振りを加えながら、熱のこもったボイスを吹き込んでいただきました。
市原さんが、熱の込め方について気にされる場面もあり、その作品と真摯に向き合うストイックな姿が印象的でした。
途中、セリフが長く、予定していた動画の尺に間に合わないというハプニングもありましたが、何度も微調整を重ねてくださり、素敵な動画に仕上がりました。
収録後、録音室から出てきた市原さんは、気迫を感じさせる収録中の姿とは打って変わって、笑顔を見せながら「こんなに早口のナレーションは初めてです(笑)。それだけ想いが詰まっているんですね」と、温かい言葉で場を和ませてくれました。NAR(地方競馬全国協会)プレスリリースより
市原隼人 / 藤巻亮太
インタビュー
市原隼人

――「ダート三冠を中心とした新体系」CMでナレーションを務めた感想と、ナレーション収録の際に意識したことについて教えてください。
市原隼人さん(以下 市原):競走馬や騎手が、数多くのドラマを纏って、日々重ねてきた歴史を感じながら声を入れさせていただきました。
僕も何度か、間近で馬を見たり、騎手の表彰式にも参加させていただいたりしたのですが、本当に皆様の並々ならぬ努力があってこそだと感じています。
言葉に表せない歓喜や、情熱や、悔しさや、涙。いろんな気持ちが交錯するなかで一つのレースにかける想いがあり、人知れず、いろんな孤独を背負ってきたり、温かい気持ちをいただいたり、いろんな想いを紡いできて、今回の「ダート三冠」をはじめ、競馬関係者の皆様は様々な目的に向けて動いているんだということを思いながら、声を入れさせていただきました。
――「ダートに熱を響かせろ」というコピーがありますが、最近市原さんの心に響いた出来事があれば教えてください。
市原:形あるものはいずれ壊れてしまうかもしれませんが、形のないもの、つまり大切な心とか、相手を思いやる気持ちとか、記憶というのは、一生涯かけてずっと自分の中で輝き続けていくということを、最近、視覚障がいと向き合う役作りの中で強く学ばせていただきました。
これからも、不変の価値という財産を自分で掴みにいくべく、目には見えない感情や人の心をずっと見続けていたいと、改めて考えました。
役作りのために、視覚障がい者支援センターに伺った際に、利用者で中途失明の全盲の方が「今度結婚するんです」とお話してくださって、元々お知り合いの方とのご縁なのかと思い聞かせていだだいていたのですが、失明されてから出会われたとのことで、失礼ながら、「お相手の方を拝見せずに決められたということですか?」と尋ねました。
そうしたら、「すごく素敵な方なんです」と。僕はその時に、目に見えるものに惑わされて、本当の価値が見えていなかったのかもしれないという思いが湧いてきて。形ないものの美しさといいますか、それを自分の中でいつまでもずっと大切にしたいと思いました。
――”ダート競馬は「可能性」の物語”というナレーションから始まる本CM。市原さんは、ご自身に感じている可能性や目指している理想像はありますか?
市原:本気で笑って本気で悔しがって本気で泣いて、物事の根源を大切にし続けるという事が、僕の夢でもあって理想でもあります。全ての物事の根源を見つめていけば、自分の在り方や、日々の暮らしがより豊かになると思うんです。
何か努力したい、何か頑張りたいと思っていても、頑張るポイントが分からなかったり、どこに向けて何を努力すればいいんだろうと考える時期が20代前半によくありまして。その時に物事の根源というものが大切なんだと気づきました。
お客様に向けて、全てのことを行いたい。お金を稼ぐために仕事をするのではなく、その職業が何のために生まれて、廃れずに続いているかということを見つめていくと、例えば、「役者」であれば、お客様のために尽くすものというシンプルなところに辿り着いて、本質を見つめる事でより直向きな意欲が湧いてきます。
こんな自分でも、少しは他人様の力になれるかもしれないという希望をいただけるんです。そこに無限の可能性を感じています。僕は慣れを怖く思っています。
どんなことでも慣れずに目を見開いて、いろんなものを無垢な気持ちで見ていたいです。そうすることで、限度のない可能性を見出せると信じています。
心の機微を与えていただけるということは、役者にとってすごく素晴らしいことです。何か試練や課題をいただけると、それを通してまた何か成長させていただけるのかなと。
どんなものもプラスに持っていく自分でありたいですし、プラスに持っていくための最初の一歩、勇気を持てる自分でいたいです。悩み立ち止まるのではなく、考えながら一歩一歩前に進んでいきたいと思いますが、日々打ちのめされてばっかりです。
本当に自信もない人間ですので、前に出るのも苦手で、話すのも苦手です。ですが、その根源となるお客様のために何かできないかと、現場に執着し続けることで、一つ自分の生き方を見出せたと思います。
恩返しさせていただくような気持ちで、お客様に少しでも楽しんでいただけたら、他人様の力になれたらうれしいと心から思っています。

――本CMの藤巻さんの楽曲について、どのようなイメージをお持ちですか?今回起用された楽曲「新しい季節」の印象について教えてください。
市原:広い世界に、目一杯に手を広げているような曲だなという印象を受けました。それでいて、未来に向けて心が弾むような、胸が躍るような、背中を押してくれるような、とても前向きで透き通った透明感のある曲だと思いました。
――芝よりもパワーを要するダート競馬。市原さんもパワーみなぎるお姿が印象的ですが、そのパワーの源は何でしょうか?
市原:ひとえに、日頃から応援してくださる方々のお気持ち、そのお声です。そして、作品を好いてくださって、作品にお声をくださる方々が力の源です。その根源であるお客様のために、現場に執着し続ける。その気持ちだけです。
――様々なドラマが巻き起こる競馬。市原さんがこれから巻き起こすドラマにも注目したいと思いますが、今後どんな役を演じてみたいと思いますか?
市原:ポップなものから狂気的なものまで、いろいろなものを演じてみたいです。いつか、一世一代と呼ばれる芝居ができるように、その為に課題をいただけるように、同時に、どんな役も魅力的な役にしていけるように、努力したいと思います。
――ご自身の役作りにおいて、大切にされていることや意識されていることはありますか?
市原:目に見えないものを常に追いかけています。“感情”が商売道具だと思っているので、正解を求めれば求めるほど、答えが逃げていくような。
「普通」がなにかわからないんです。日本で正しいと言われても、海外では正しくないこともある。その価値は誰が決めるのか。時代のニーズだったり、情勢だったり、いろいろなもので作品の色や芝居は変わっていくのですが、とにかく全てを認めることからだと思います。
それはすごく難しいです。全てのものを認めていくのはすごく力がいることで、矛盾を受け入れていくことは、常に何かを構築しては壊して構築しては壊してという、禅の行いのような感じです。
そのなかで答えを出すというのが僕はすごく難しくて。考え続けるということですね。答えを出さないということが1つの答えだと思います。どんな方にも、どんな物事にも、どんな形式にも柔軟に変化し寄り添っていく心。水のように、柔軟にいろいろなものを受け入れていくことが大切だと思っています。
――市原さんが競走馬の名前を付けるとしたら、どんな名前にしますか?
市原:「サクラ」ですかね。桜って、姿形もそうですし、日本人が古くから持っている、生きていく精神、生きる美徳を感じますので、いつまでもわびさびというものが廃れない時代であってほしいなという思いを込めて、「サクラ」です。
精神的なものにも繋がってくるものでもあるし、形でも美しさを見せる。競馬とも繋がるところがあるんじゃないかなと。例えば、デートと同じようにすごくワクワクさせていただけるものが競馬であって、終わってからもその余韻を楽しんで、人と人との絆を繋げる懸け橋になるようなものだと思いますので。どこか似ているような部分もあるかなと思いまして、「サクラ」でお願いします。
――まもなくゴールデンウィークです。市原さんは、ゴールデンウィークは何をされる予定ですか?
市原:ゴールデンウィークは…去年も休みがなかったので・・・(笑)。でも、休みがあれば、出身が神奈川県なので、川崎競馬場に行ってみたいです。
最近すごいんですよね。とても素敵で、若い方から人生のキャリアを積まれた方まで、さらにお子様まで楽しめる。存在する意義が、どんどん膨らんでいるのが、地方競馬の素敵な魅力だと思いますので、まずはそこを楽しみたいです。
あとは、湯治に行きたいなと(笑)。岩手県の方に、大自然の中で600年前から続く昔ながらの温泉がありまして、100%源泉かけ流しで。6畳ぐらいの小さな昔から変わらない和室があって、ごはんも自分で作れる炊事場もありまして。そういうところに行って、もう一度自分をリセットしたいと思います。
経験を重ねると前よりも器用になったり、いろいろな情報を自分にどんどん入れて慣れていくというのがすごく怖いんです。慣れというものに危機感を感じることで、今回のCMのテーマの1つでもある限度のない可能性を見出せると思いますので。それを生み出すために、もう一度シンプルで丁寧な生活をしたいなと。
温泉に入りながら、一度概念を0にして、もう一度周りにある全てのものを感じるために、湯治に行きたいです。
――湯治はおひとりで行かれるのですか?
市原:1人で行きますね(笑)。完全に1人になると、たくさんの方々に日々支えていただいて芝居や生活をさせていただいているという事をすごく感じるんです。
1人になったら何ができるんだろうっていうことを考えていて、もう一度初心に戻るといいますか、また新たなスタート地点に行くための準備をしていきたいと思っています。
――その温泉では自分でごはんも作れるというお話がありましたが、市原さんはお料理も趣味だとうかがいました。
市原:料理を作るのもすごく好きで、それはおもてなしのような、誰かにプレゼントするような感覚です。喜んでいただけたらうれしいなという思いでいつも作っています。
夜な夜な、常備菜を作ったりしながら、よくセリフを覚えたりするのですが、それも一つの癒やし、リラックスする時間になっているので、そんな時間も大切にしています。
――CMをご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
市原:人と人の懸け橋となり、日々の暮らしや携わるものすべてを豊かにするような、かけがえのない素敵な場所だと思っていますので、ダート競馬を皆様とともに盛り上げていけたら幸いです。
市原隼人 プロフィール
1987年生まれ、神奈川県出身。2001年に映画『リリイ・シュシュのすべて』で主演を務め、映画『偶然にも最悪な少年』で第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
以降多くの作品に出演。主な出演作品は、映画『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』、『ボックス!』、『ヤクザと家族TheFamily』、ドラマ『WATER BOYS2』、『ROOKIES』など。近年では、主演作品『おいしい給食』シリーズ、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』、『鎌倉殿の13人』『おんな城主直虎』、NHK『正直不動産』シリーズ、舞台『生きる』、『中村仲蔵~歌舞伎王国下剋上異聞~』などがある。
劇場版『おいしい給食 炎の修学旅行』が2025年公開予定。
https://www.stardust.co.jp/talent/section1/ichiharahayato/
藤巻亮太

――「ダート新体系 可能性篇」CMへの楽曲提供が決まった時の感想はいかがでしたか?また、本CMと新曲「新しい季節」でリンクする部分があれば教えてください。
藤巻亮太さん(以下 藤巻):楽曲を制作した当初は、まさかCMに起用していただけるとは思っていませんでしたが、この曲の持っている躍動感や疾走感は馬が駆ける姿とシンクロするのではないかと感じています。CMを通じてこの楽曲を聴く方々に、爽快な気持ちでご覧いただけると嬉しいです。
――新曲「新しい季節」が誕生したきっかけや、楽曲に込めた想いについてお聞かせください。
藤巻:この曲は、自分自身を鼓舞するようにつくった曲です。日常生活の中で、知らず知らずのうちに自分の限界をつくってしまうこともあると思うのですが、そんな自分で作った壁を乗り越え、その先へ1歩でも前進できるようにという思いを込めて制作しました。
※「新しい季節」も収録しているアルバム「儚く脆いもの」のリリース情報はコチラ
――競馬に関する思い出はありますか?
藤巻:以前、競走馬を近くで見せていただく機会があり、その美しさに圧倒されました。レースを終えた後の湯気が立ち昇っている馬体からは、力強さや生命力を感じました。
また、競馬場で馬を応援する多くのファンの方々からも、熱いエネルギーを感じ取ることができ、競馬が多くの人々に愛されている理由を実感しました。
――CMをご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。
藤巻:馬と騎手が一体となり自分の限界を超えようと走る姿と、この楽曲の持つ躍動感はリンクする部分があると思うので、そういった想いも楽しみながらご覧いただけると嬉しいです。
藤巻亮太 プロフィール
2003年にレミオロメンのメンバーとしてメジャーデビューし、「3月9日」「粉雪」など数々のヒット曲を世に送り出す。
2018年から地元・山梨で野外音楽フェス「Mt.FUJIMAKI」を主催し、2025年は9月27日(土)に開催決定。
2025年3月26日にはオリジナルアルバム「儚く脆いもの」をリリース。
続けて4月からはアルバムを引っ提げ全国7公演に加え、初の海外公演となる台湾公演含むバンド編成でのツアー【藤巻亮太 Live Tour 2025~儚く脆いもの~】を開催中。
https://www.fujimakiryota.com/