モーションアクターや剣舞師として活躍する川渕かおりと、幾度のMTV JAPAN受賞歴を持つ映像ディレクター野田智雄が、2年にわたり撮影をしたショート・フィルム「追憶 ~Chaotic recollection~」が、遂に2020年12月24日公開となった。
Onigiri Mediaでは、主演の川渕かおり氏、音楽制作をしたKAO=Sの山切修二氏のコメント、そして監督の野田智雄氏のインタビューも併せてご紹介する。
追憶
~Chaotic recollection~
幾度のMTV JAPAN受賞歴を持つ映像ディレクター野田智雄氏が、2年にわたりモーションアクターや剣舞師として活躍する川渕かおりを撮影。
今年、2020年 完成となったショートフィルム「追憶 ~Chaotic recollection~」。
音楽は、川渕かおりがボーカル・剣舞を務めるロック・ユニットKAO=S(カオス)の山切修二が担当。KAO=Sの楽曲も使用されている。
2020年12月3日に開催されたKAO=Sライブ「A LIGHT IN CHAOS / 月詠ステージ」冒頭で、世界初お披露目となったこの映像が、遂にYouTube / Vimeo で公開となった。
未来から訪れた女侍が、記憶を彷徨って、現代の見えない敵と戦い続ける。イメージ先行の実験ショートムービー
「追憶 ~Chaotic recollection~」
- starring
KAORI KAWABUCHI (KAO=S) - music
SHUJI YAMAGIRI (KAO=S) - assistant director
RITSUKO TANAKA - directed by TOMOO NODA
- location
Jogasima, Gongendo, Saiko-Doman, Kamanohuchi, mt.Akagi-Konuma - ©︎2020 D.I.O Entertainment LLC
同作品・Vimeoリンクはコチラ
https://vimeo.com/494284037
今回公開となった「追憶 ~Chaotic recollection~」制作についてのコメントが、川渕かおり氏、山切修二氏より届いたので以下にてご紹介。更に、監督・野田智雄氏のインタビューも併せてチェックして欲しい。
制作を終えて
川渕かおり コメント
最初の撮影は2018年の5月で左膝の手術後だったので移動が大変で、激しい動きは撮りませんでした。
冬のシーンは寒いのが苦手なので、雪に顔を埋めながら微動だにしないのは心頭滅却する必要がありました。
黒衣装で演じたシーンが最後の撮影で、夏に某海岸にある洞窟で撮ったのですが、洞窟の壁面を数千匹のフナムシが埋め尽くしてました。少し映像にも内壁を移動する彼らの様子が映ってます(笑)。
天井にゲジゲジもいて緊張感はありましたが、各所でインパクトのある映像が撮れて良かったです。
野田さんとは今まで以上に組んで作品を作っていきたいと思います。
山切修二 コメント
撮影現場ではスタッフとして荷物持ちが主でした(笑)。
春夏秋冬を描くという事で、撮ってはまた次の季節を待って、、という感じだったので撮影には2年かかりましたが、各季節で良い撮影場所を野田さんがチョイスされてたので、野田さんの腕前でこれらがどんな映像に昇華されるのだろうと撮影時からワクワクしてました。
上がってきた映像は想像以上に素敵で、無音で何度も観てからギターで曲を作っていきました。
KAO=Sの既存曲も野田さんのご意向で使われてますが、新しく作った曲では、激しさや不安定感を表現してみました。
この作品を布石として野田さんの世界観とのコラボをどんどん世に出していきたいと思います。
KAO=S Website
https://www.kaos-japan.net/
KAO=S performance photos
by Kaoriko “ossie” Hanawa
野田智雄 インタビュー
■ショートフィルム『追憶 ~Chaotic recollection~』を制作する事になったきっかけを教えて下さい。この作品を作ろうと思ったきっかけはなんですか?
飲みの席での話しでした(笑)。数年前にかおりさんと飲みながら、酔うと良くする日々の仕事の話や精神論など色々話すうちに意気投合し、仕事を離れたところでの作品撮りを一緒にやれたらいいねと相成りました。
空いた時間をじっくり使い、日本の四季をテーマに時空をかけめぐる様な作品にしようと始まりました。
しかも、いつもの仕事のように撮影前にたくさん試行錯誤し内容や段取りを決め込んで作っていくやり方ではなく、初めからストーリーは固めずに降りてきたインスピレーションを大事に積み重ねていくという実験的な手法で臨んで行こうとチャレンジしました。
仕事の撮影だと数十名と大人数が関わるのですがこのプロジェクトはKAO=Sの二人と自分とアシスタントの計4人。超少人数でそういう意味でもチャレンジでした。
野田智雄・DEPTH IMAGE GRAPHIX
■川渕さん、またはKAO=Sとはどの様にお知り合いになられましたか?
日々の仕事の中、あるアーティストのMV撮影の企画でたちまわりをやることになり、殺陣のインストラクターとしてかおりさんを紹介されました。
アーティストと一緒に殺陣を振りつけていく最中、先生であるかおりさんのパフォーマンス、身のこなしが凄くかっこよく「日本中でもなかなかいない存在かも」と、脳裏に焼き付くことになりました。
その後、その仕事のやりとりをきっかけに飲みに行ったり、ライブに呼んでいただいたり、親交がスタートしました。
それから。更にお互いに自分の演出するMV仕事にパフォーマーとして出演してもらったり、KAO=Sのライブ収録を頼まれたりと、仕事でも持ちつ持たれつで良い関係で、現在も助けあっています。
BUCK-TICK 「BABEL」MV
このミュージックビデオ監督は野田智雄氏。川渕さんはダンサーとして出演している。
■ショートフィルム『追憶 ~Chaotic recollection~』は、2018年AMRITAのMV制作時からのプロジェクトだと思いますが、この制作期間・約2年間で記憶に残るエピソードや出来事はありますか?
四季のシチュエーションを撮る所に重きを置いていたため時期や撮影場所には、なによりこだわることになります。
まずは春から始めようと大きなしだれ桜を探し、静岡や山梨まで足を運び、ロケハンを繰り返していましたが、結局スケジュールが合わず、満開のタイミングを逃してしまうという失態から始まりました。
そして結局、初夏から撮り始め(埼玉の公園)、夏は予定が合わず逃し(苦笑)、秋の紅葉(奥多摩)はかろうじて間に合い、そして冬の雪原ですが、これは関東近郊では難題ですよ。
しかし、山勘で群馬の赤城山まで足を伸ばした結果、奇跡的に雪が降り雪原クリア。
撮れなかった春の桜は、一度しくじってるので努力の結果、タイミングばっちりの桜で撮れ(幸手)、最後に夏の海(城ヶ島)で、全てを集結する意味でストーリー性を少し用意して臨みました。
とにかく海外飛び回ったり、多種の仕事をこなしている多忙なかおりさんと、撮影タイミングをあわせるのは至難の技でした。
全て撮り終えて編集段階に入ると、やはり季節ごとにニュアンスの違う撮影素材をまとめていくには、非常に苦労しましたが、何か新しく生まれたカオスな世界観も感じられると思います。
野田智雄氏監督・KAO=S「AMRITA」ミュージックビデオ
■最後にショートフィルム『追憶 ~Chaotic recollection~』を見る方に、メッセージがありましたらお願いします。
最終的にKAO=Sの「狐火」という曲のように、カオスティックな世界観で仕上げたいという考えが頭にあったので、かおりさんの心の声により、上手くまとまった次第です。
急激に広まった新型コロナウイルス感染により変わりゆく世界。人類がこの見えない敵と戦ってゆく姿、歴史的な瞬間をこの作品とダブらせて記憶として残しておきたい。
そういう気持ちで作品のイメージに抽象的になぞらえました。
逆境は繰り返し襲ってくるもの。人類の学習として未来で歴史の1ページとして振り返れるように、今は何があってもあきらめずに力を合わせ戦っていきましょう!
野田智雄・映像クリエーター
(DEPTH IMAGE GRAPHIX)
福岡県出身。1993年ポストプロダクションIMAGICAに入社。
Infernoエディター、オフラインエディターとして活動後、2004年よりフリーランスに転向した。
現在はディレクターとしてミュージックビデオ、CM、LIVE映像などを手掛け、演出や撮影、編集までを行う。
野田智雄・DEPTH IMAGE GRAPHIX
https://www.depthig.com/
https://onigirimedia.com/2020/12/08/kaos-light-in-chaos_report/