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『夜叉ヶ池』他 活弁シネマクラブ最新回「篠田正浩監督特集」樋口尚文/森直人/徐昊辰が語る篠田作品の魅力

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映画ファンと映画製作者によるトーク番組『活弁シネマ倶楽部』にて「篠田正浩監督特集」が、2021年7月26日公開された。現在、渋谷 ユーロスペースでは特集上映「篠田正浩監督生誕90年祭 『夜叉ヶ池』への道」が開催されている。

『活弁シネマ倶楽部』では、番組MCで映画評論家/ライターの森直人、映画評論家にして映画監督でもある樋口尚文、映画ジャーナリスト 徐昊辰の3人が『夜叉ヶ池』を始めとした篠田作品の魅力について、様々な話を繰り広げる。


篠田正浩監督生誕90年祭
『夜叉ヶ池』への道

2021年7月10日~30日まで、東京 渋谷ユーロスペースにて「篠田正浩監督生誕90年祭 『夜叉ヶ池』への道」が開催されている。

本特集は、2021年7月14日にBlu-ray版がリリースされたばかりの『夜叉ヶ池 4Kデジタルリマスター』を中心に、以下 篠田正浩監督が自選した9作品が特集上映されている。

  • 私たちの結婚
  • 涙を、獅子のたて髪に
  • 乾いた花
  • 暗殺
  • 心中天網島
  • 無頼漢
  • 沈黙 SILENCE
  • 化石の森
  • はなれ瞽女おりん
  • 夜叉ヶ池 4Kデジタルリマスター

ユーロスペース
篠田正浩監督生誕90年祭

『夜叉ヶ池』への道
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000532

夜叉ヶ池 4Kデジタルリマスター版 (Blu-ray)

篠田正浩監督
プロフィール

映画監督・篠田正浩、1931年3月9日生。

1960年『恋の片道切符』でデビュー。2作目の『乾いた湖』で大島渚、吉田喜重らと共に“松竹ヌーヴェル・ヴァーグ”の旗手として注目を集め、独自のスタイルで数々の名作を撮り続けた。

詩人 寺山修司や作曲家 武満徹など異才との出会いから生まれた作品をはじめ、松竹を退社後に設立した「表現社」など独立プロで、『心中天網島』(1969年)、『沈黙 SILENCE』(1971年)など独自のスタイルで傑作を手掛け、『鑓の権三』(1986年)で、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。

その後も国際的スケールの作品を世に送り出し日本映画界をリードし続けて『スパイ・ゾルゲ』(2003年)まで常に日本人とは何かを問い続けてきた。

映画.com 篠田正浩
https://eiga.com/person/34067/

篠田正浩監督作品(配信)

夜叉ヶ池

『夜叉ヶ池』は、作家・泉鏡花による同名作品を原作に、1979年に篠田監督が映画化したもの。

歌舞伎界で、女方として一世を風靡していた坂東玉三郎が、映画初出演を果たしたことも話題となった作品。

そんな『夜叉ヶ池』は巨額の資金を投じて製作された、いわば大作映画だが、長らく「幻の映画」とされてきた。

夜叉ヶ池 4Kデジタルリマスター版 (Blu-ray)

『活弁シネマ倶楽部』
篠田正浩監督特集

2021年7月26日に配信された、映画ファンと映画製作者によるトーク番組『活弁シネマ倶楽部』では、番組MCで 映画評論家/ライターの森直人、ゲストの映画評論家/映画監督でもある樋口尚文、映画ジャーナリスト 徐昊辰の3人が、「篠田正浩監督特集」と題し『夜叉ヶ池』を始めとした篠田作品の魅力について、様々な話を繰り広げる。

https://youtu.be/DLWkXI3adU4

番組内では、なぜ『夜叉ヶ池』がなかなか映画界の表舞台に顔を出さなかったのかについて、番組MCの森直人がゲストの樋口尚文に質問。

樋口監督は「松竹の看板である坂東玉三郎さん主演の“文芸大作”ですよね。篠田監督は独自の製作スタイルで、『心中天網島』なんかが大好きだった僕は公開を楽しみにしていました。

でもこの当時の封切り状況がすごくて。大島さんが降板したという『日本の黒幕』や、神代さんの『遠い明日』、野村芳太郎の『配達されない三通の手紙』に、村野鐵太郎の『月山』が並んでいたんです
」と語っている。

コレに対して森は「“79年”という感じがすごく出ていますね」と反応。たしかに非常に濃いラインナップだ。

映画評論家/映画監督
樋口尚文が語る『夜叉ヶ池』

樋口は、1979年当時の『夜叉ヶ池』封切り日のことを「劇場内はちょっと異様な感じでしたね。歌舞伎ファンや、玉三郎さんのファンが押しかけてきているわけでもないようでした」と回顧。

その中でも“歌舞伎ファン”と思しき観客が上映後に口にした「なんか『ゴジラ』みたいな映画だったね……」という言葉が印象に残っているらしい。

たしかにこの映画は、完成度の高い傑作・名作といった類の映画ではないです。けれども、ものすごい実験作であり、挑戦作。

文化的なものたちをボーダーレスに、ごった煮的に一つのエネルギッシュな作品に仕上げようという試みが素晴らしいなと僕は思ったんです」と樋口は続けている。

しかし、当時の映画論壇からは“黙殺”や“酷評”に近い扱いを受けたようだ。

『夜叉ヶ池』が公開された1979年は『太陽を盗んだ男』『復讐するは我にあり』『Keiko』『もう頬づえはつかない』といった、高い評価を得た傑作が公開された年でもある。

この並びの中で『夜叉ヶ池』の存在は、良くも悪くも浮いた映画だった様だ。本作がいわば封印となっていた理由について、番組では丁寧に考察し、明かしている。

映画.com 樋口尚文
https://eiga.com/person/270805/

映画ジャーナリスト
徐昊辰氏が語る『夜叉ヶ池』

心中天網島(1969年製作 監督・篠田正浩)との出会いが衝撃的なものだった」と話す徐は「私にとって好きな日本像とかなり近いように思った」と続ける。

そんな彼の趣味の一つが、旅。中国出身である徐にとって旅とは、歴史や自然に触れることであり、篠田作品はそれに通じるものがあるのだという。

個人的に篠田作品で一番印象深いのは、『桜の森の満開の下』です。舞台となっている吉野山に何度も行っているのですが、実はあそこで桜を見られる機会ってほとんどありません。

そんな中でも一度だけ、“満開の桜の下”を歩いたことがあります。そのときに、桜の美しさや、『桜とは何か?』ということを考えるようになりました」と語っている。

徐いわく篠田作品の特徴として、“日本を知る”きっかけを与えてくれる側面が強くあることを挙げている。

いろいろな面から注目を浴びる日本。しかし、日本を旅したくても、そうもいかないこのご時世。だからこそ、映像作品を通して、日本を知る。『日本とは何か?』ということを考える。

篠田作品がもっとも求められる時代がやってきたのではないか」と徐は持論を展開している。

映画.com 徐昊辰(じょ・こうしん)
https://eiga.com/writers/xhc/

活弁シネマ倶楽部

https://twitter.com/katsuben_cinema/status/1419590818168549378?s=20
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おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/