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映画「セールス・ガールの考現学」モンゴル発 内気な女子大生と謎多き女性ショップオーナーが織りなす ちょっとおかしくてエモーショナルなストーリー

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モンゴル発 映画「セールス・ガールの考現学」。2023年4月28日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開される本作は、地味で内気な女子大生が、アダルトグッズ・ショップを経営する謎多き女性と出会い、成長を遂げていくストーリー。

草原ではなく、都会に暮らすモンゴル女子の青春を、浮遊感のあるドリーム・ポップと共に、笑いも交え軽やかに、エモーショナルに伝えてくれる本作を、2022年夏に同国でパフォーマンスを披露した日本人アーティスト Ekotumi(エコツミ)のコメントも交えてレポートする。【試写会コラム】


セールス・ガールの考現学

2023年4月28日より新宿シネマカリテヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国順次ロードショーとなるモンゴル映画「セールス・ガールの考現学」。

第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバル(NYAFF)でグランプリに輝いている本作は、「草原」や「遊牧」と言った既存の「モンゴル」のイメージを大きく覆す、ちょっと可笑しくてエモーショナルな、都会で暮らす地味で内気なモンゴル女子大生の成長物語が描かれている。

因みに考現学とは、現代の社会現象を調査・研究し、世相や風俗を分析・解説しようとする学問。考古学をもじった造語。モデルノロジー。(コトバンク デジタル大辞泉より)

映画「セールス・ガールの考現学」
Website
http://www.zaziefilms.com/salesgirl/

  • 製作年・国
    2021年/モンゴル
  • 上映時間 他
    123分/カラー/5.1ch
  • 原題
    Khudaldagch ohin
    英題 THE SALES GIRL
  • 言語
    モンゴル語・ロシア語
  • 字幕翻訳
    大塚美左恵
  • モンゴル語監修
    フフバートル
  • 配給
    ザジフィルムズ
  • 後援
    駐日モンゴル国大使館  

ストーリー

モンゴル・ウランバートルで家族と暮らし、大学で原子工学を学ぶサロールは、代わり映えのない毎日を送っていたが、ひょんなことから、大人のオモチャが所狭しと並ぶ、ビルの半地下にある怪しげなアダルトグッズ・ショップでアルバイトをすることになる。

店を訪れるさまざまなタイプのお客たちと接する日々の中で、人生経験豊富な女性ショップ・オーナーに導かれ、自分らしく生きることを学んでいく。

キャスト

地味で内気な女子大生の主人公「サロール」を演じるのは、本作が映画デビューにして、映画初主演となるバヤルツェツェグ・バヤルジャルガル(BAYARTSETSEG Bayarjargal)。

300人のオーディションの中から選ばれた彼女は、第17回大阪アジアン映画祭で「最も輝きを放っている出演者」に贈られる薬師真珠賞を受賞している。

「サロール」がアルバイトをする事になった、アダルトグッズ・ショップを経営する謎多き女性「カティア」を演じるのは、エンフトール・オィドブジャムツ(ENKHTUUL Oidovjamts)

現在ドイツに在住する彼女は、舞台などには出演していたが、映画へのメインキャストとしての出演は実に約30年ぶりとなるベテラン女優。

監督は、現代のモンゴル映画界を代表するセンゲドルジ・ジャンチブドルジ(SENGEDORJ Janchivdor)。

2010年 第1回 なら国際映画祭に「オキシゲン」が入選。2016年にはモンゴル版アカデミー賞の最優秀監督賞「Lovers」で受賞、2018年 ウランバートル国際映画祭では「Life」が最優秀長編作品賞を受賞するなど受賞歴も多い。

映画「セールス・ガールの考現学」
Website
http://www.zaziefilms.com/salesgirl/

Magnolian による
浮遊感のある音楽

映画「セールス・ガールの考現学」で効果的に使われている音楽は、モンゴル出身のシンガーソングライターで、Magnolian(マグノリアン)と言うステージ・ネームで活動をしているドゥルグーン・バヤスガラン(DULGUUN Bayasgalan)の手によるもの。

コクトーツインズなどを彷彿させる、リバーブの効いた浮遊感のあるドリーム・ポップ的なMagnolianのサウンドも、いわゆるモンゴル的なイメージを覆す。

また、本人がところどころで出演、楽曲を歌うなどユニークな演出もされている。

本作では、2020年リリースのアルバム「Slow Burn」からの楽曲も多く使われている。

Magnolian プロフィール

モンゴル出身のシンガーソングライターで、Magnolian(マグノリアン)というステージネームで活動。

2015年にモンゴル最大の音楽フェスティバル「Playtime」に唯一のソロアクトとして出演し、その後すぐに1stシングル「Someday」をリリース。

16年6月にリリースしたデビューEP「Famous Men」は、モンゴル国内はもちろん国際的にも注目を浴び、米メディア「Nerdist」の「Bandcamping」欄で、7月のベスト・アンダーグラウンド・アルバムに選出された。

同年、韓国最大の音楽ショーケースの一つである「Zandari Festa」で初の海外公演を行い、翌17年3月にはテキサス州オースティンで開催されたSXSWに出演した。

Spotifyでは、人気ロックバンド「The HU」に次いで2番目に再生数が多いモンゴル人アーティストで、1,000万回以上を記録している。

20年9月にAnti-Fragile MusicからデビューLP「Slow Burn」をリリース。また、18年の釜山国際映画祭に出品された映画「They Sing Up on the Hill」では音楽と主演を務めている。

Website
http://www.magnolianmusic.com/

Ekotumi コメント

昨年2022年8月 日蒙友好50周年イベント「Japan Festival in Mongolia 2022」出演の為、モンゴルの首都ウランバートルを訪問。パフォーマンスを披露した日本人アーティスト Ekotumi(エコツミ)が、映画「セールス・ガールの考現学」の試写会に参加。

コメントを寄せてくれた。

Ekotumi

「想像とまるで違う。」日蒙友好50周年イベント「Japan Festival in Mongolia 2022」で歌うため、初めてウランバートルにおりたった私が感じたのは、その一言につきました。

私のモンゴルに対するイメージは、日本といえば侍&着物くらいに乱暴なものだったのだろうな。そこにあったのはラクダや草原ではなくて、活気がある近代的な街。活気があって、勢いがあって、私はすっかりモンゴルが好きになってしまったのでした。

この映画には、リアルなモンゴルが描かれていて、主人公をみていると現地の同じくらいの年齢のスタッフさんたちを思い出してしまう。

観終わったあなたの心の中にも、わずかな甘酸っぱさがしんしんと残るといいな。もちろんウランバートルの街並みも観てほしいのだけれど。

Ekotumi

Ekotumi エコツミ
プロフィール

神話や民話を伝えるシンガーソングライター/パフォーマー/小説家。
早稲田大学卒。神社検定1級。

数多くの舞台・ミュージカルに出演し、在学中に映画挿入歌にて歌手活動をスタートする


言葉の語源にこだわる独特の詩とメロディ、そして舞台演出が評価され、ライブ公演
、PV、イメージソング、ゲーム主題歌など、多方面に活躍。

2010年からは、歌と舞を用い日本神話に独自の解釈を加えた和風歌劇「新訳古事記シリー
ズ」を展開。2015年以降はヨーロッパを中心に世界各国でコンサート公演を行っている。
パリ、 ロンドン、リトアニアではソロ公演も開催。

アーティストとしても活動しており、Anderson Sudario 氏とのインタラクティブアート作
品で北九州デジタルクリエーターコンテストを受賞。自身のパフォーマンス映像がベルリ
ン「WomenCinemakers」に選出。地域芸術祭 MMM にてグランプリを受賞。

Website https://www.ekotumi.jp/

セールス・ガールの考現学
試写会コラム

「女子大生の主人公がアダルトグッズ・ショップでアルバイト」と言うシチュエーションだけを聞いてしまうと、エロティックな想像をしてしまう人もいるかも知れないが、さにあらず。

この物語は2人の女性 主人公である女子大生の「サロール」と、アダルトグッズ・ショップを経営する謎めいた女性「カティア」との交流と変化を描いている。

しかし、「アダルトグッズ・ショップ」での客とのやり取りや、街並み、若者の佇まいなどから考えさせられる事も多い。

モンゴルは地理的に言うとロシアと中国に挟まれた場所に位置する国。日本からも距離的には、さほど遠くはないが、「草原」や「遊牧」あるいは「チンギス・ハーン」と言った一般的なイメージ以外は知らない事が多いことに、映画を観ると改めて気づく。

モンゴルは、以前は「モンゴル人民共和国」と言う一党独裁の社会主義国だったが、ソビエト連邦の崩壊に触発され、1990年に複数政党制を導入、社会主義を事実上放棄し、民主化・市場経済化の道を選択。1992年2月にモンゴル国憲法施行、国名を「モンゴル国」に変更している。※外務省 モンゴル国 基礎データより

本作内でも社会主義国の名残や、ロシアとの近しい関係性などが、ところどころで感じられる。

また「セックス」に関する表現や情報が露骨に氾濫する現代の日本や西洋諸国に比べ、まだまだ情報も乏しく、開放的ではない状況も垣間見れる。

そんなモンゴルで、都市部とは言えアダルトグッズ・ショップを経営する「カティア」の年齢は定かではないが、今から約30年前 社会主義から民主主義に移行する激動の時代を、多感な年頃だった彼女が過ごしたことは想像に難くない。

一筋縄ではいかない、波乱万丈な青春を送ったであろう「カティア」の眼に、民主化を背景に発展する「モンゴル国」の大学で、「おっとり地味目」と言えば聞こえは良いが、ただ漫然と生きる大学生の「サロール」はどの様に映ったのか…。

「サロール」はサロールで、日々を傍観者の様に主体性なく過ごしているが、実際のところ強い想いを内に秘めてはいる。しかしアジア的な価値観なのか、本人の性格なのか、親の言いなりで、自分の秘めた想いをクチにする事はない。

そんな立場や年齢、経験や性格も全く異なる2人が、ひょんな出来事を切っ掛けに知り合い、時に戸惑い、反発しながらも共鳴し、変化していく姿からは、軽やか かつ しなやかな「希望」が感じられる。

さらにMagnolianの、いわゆるモンゴル・ミュージックとは一線を画す、内相的でありながらポップで浮遊感のあるサウンドも、本作の「エモさ」を盛り上げるのに一役買っている。

そう言えば、映画の中でMagnolianではないバンドの有名なアルバムが、カティアとサロールを繫ぐキー・アイテムとして登場するが、それは観てからのお楽しみ…。

映画「セールス・ガールの考現学」は、2023年4月28日より新宿シネマカリテヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国順次ロードショー。

Website
http://www.zaziefilms.com/salesgirl/

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おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/