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狼煙は上がった。toitoitoi 3月31日上野恩賜公園野外ステージ・ワンマンライブ 「狼煙 vol.1」レポート

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ボーカル 岸川まきとギター ムラコシによる千葉県出身の2人組ロックバンド「toitoitoi(トイトイトイ)」が、2021年3月31日上野恩賜公園野外ステージにてワンマンライブ「狼煙 vol. 1」を開催した。首都圏1都3県に出されていた「新型コロナウイルス感染拡大防止の為の緊急事態宣言」が、3月21日に解除されたばかりのタイミングで行われた本ライブを、Onigiri Mediaがレポートする。


2021年3月31日
上野恩賜公園野外ステージ

All photos by Kaoriko “ossie” Hanawa
Reported by Tomoko Davies-Tanaka

例年より早めに満開を迎えた桜がわずかに残る上野恩賜公園。最高気温23.4度と、日中は初夏を思わせる陽気だった2021年3月31日。不忍池から吹くひんやりした風が心地良い野外ステージ。

入場時には「検温と手消毒」、開演前アナウンスでは「間隔を開けた座席配置、マスク着用の徹底」等が案内される。これらは昨年からの観客を入れたライブにおけるニューノーマル。

toitoitoiも、2021年2月に彼らの地元 千葉・稲毛海浜公園野外音楽堂にて行われたワンマンフリーライブを除外すれば、約1年ぶりの都内での有観客ライブ開催となる。

この日の東京の日没時刻は18時02分。野外ステージならではだが、鳥の声がライブ前BGMと混じりあい、夕闇迫る会場に響く。

感染拡大防止の為、使用座席エリアも限定し、かつ会場本来の収容可能人数から、かなり数を減らした観客数としているが、来場者が発するエネルギーから、今夜のライブに対する期待感を強く感じた。

18時05分 彼らのアルバム「ブランニューケモノロード」のアートワークも手掛けた 丸山潤 の手によって装飾がほどこされたファブリックの合間から、岸川とムラコシが静かに登場し、toitoitoiのワンマンライブ「狼煙 vol. 1」は始まった。

じょうろ

約1年ぶりとなる都内有観客による toitoitoi ワンマンライブ「狼煙 vol. 1」は、岸川のアカペラによる「じょうろ」で幕を開けた。

静かに、気負う事なく、しかし力強く、生命力にあふれた岸川の歌声が、迫りくる夕闇に染まる上野の空に響き渡る。

「このお話は始まったばかり」と岸川が歌いきると間髪入れずにムラコシのギターが飛び込み、2曲目「ベイビ」が演奏された。

続く3曲目「お言葉散歩」では、水鳥たちが岸川の声に応える様に鳴いている。toitoitoiは改めての挨拶を、4曲目の「先生あのね」まで一気に駆け抜けた後に行った。

「水上野外音楽堂 toitoitoi 狼煙 vol. 1に、ようこそ皆さんおいで下さいました!ありがとう!!!」と岸川は、開口一番大きな声で告げた。

この日は世間では年度末。それにも関わらず多くの人が来場してくれた事に感謝を述べる岸川。

当然の事だが、新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、来場者は声を上げる事は出来ない。それでも大きな拍手や、手を上げるなどの動きで、岸川の気持ちにオーディエンスは応えていた。

新型コロナウイルスが蔓延する現在の状況について、岸川は「ピンク色の霧の中にいるみたい」と話す。

正直ライブを(この様な状況下で)行わなくても良かったし、行わなくても問題はなかったけれど、それでも配信ライブ等を通じ、ファンから届くメッセージやコメントを見て、自分達が求められている事、誰かの人生に自分は必要だって事に気が付けたと続けて話した。

2020年2月29日に出演したライブ以降、364日、配信以外のライブを行わなかったtoitoitoiが、2021年2月27日稲毛でフリーライブを行い、そして今回のワンマンを開催した理由もそこにある。

コロナ禍でライブが出来ない状況になって、初めて自分たちがやってきた事の意味や、ライブをやる意義に気づけたと言う事だろう。

とは言え、まだまだ以前と同じようにライブを楽しむことは難しい状況の中、開催されたこのライブ。

岸川は、声を出さない、新しいtoitoitoiのライブの楽しみ方として、このコロナ禍で作った曲のサビで手拍子を一緒にしようと、次の曲「ボノボ(仮)」の楽しみ方をレクチャーし始めた。

新曲「ボノボ(仮)」

同期によるリズムがループする新曲「ボノボ(仮)」。会場の観客に、岸川がサビでの手拍子の方法をレクチャーする。

「自由に楽しんで欲しい、でも皆で音を重ねたらどうなるかやってみたい」と話す岸川に導かれ、「ボノボ(仮)」の一部を担う為、練習を重ねるオーディエンス。

岸川は「感情を表に出す事は楽しい事」と言う。新型コロナ感染拡大防止の為、話したり、声を出したりと言うコミュニケーション方法が制限された事により、感情を表に出す機会がさらに少なくなった昨今。

会場全体で手拍子をする事で、音を、気持ちを、感情を共有する事が、新鮮な気がした。

会場の手拍子に背中を押されたのか、たった2人しか居ないのにステージの広さを全く感じさせない、岸川の縦横無人な動きに拍車がかかる。

逆に地軸の様にステージ中央から動かないムラコシは、toitoitoiの力強い音軸をギターで紡ぎ出す。

新曲「ボノボ」に続いて演奏されたのは「ブルーチリ」。そして7曲目にはtoitoitoiライブの定番曲「キスキスバンバン」が演奏された。

キスキスバンバン

ライブ定番曲「キスキスバンバン」が始まると、岸川は観客向かってステージ左端から飛び降りた。

ソーシャルディスタンスは保ちつつ、それでも、少しでもオーディエンスを近くに感じる様に、歌声を届ける様に、客席を飛び回る岸川 。

さらに岸川は、ステージにいったん戻ると、今度はどこに行こうかと、まるで動線を確認する小動物の様にキョロキョロと周りを見渡す。

そんな彼女のマイクコードが絡まりそうな事に気がつき、ギターを弾くのをやめて、コードをムラコシがさばく。それをオーディエンスは笑いながら見守る。

この流れ、空気感は正に長年のライブでつちかわれた「阿吽の呼吸」としか言いようがない。

自然児・岸川の魅力が炸裂した「キスキスバンバン」の後には、「オー・マイ・大地」、「つばめ症候群(仮)」、そして「春に散る」の3曲が演奏された。

春に散る

「つばめ症候群(仮)」そして「春に散る」は、2020年に出来た曲。特に「春に散る」は、ちょうど昨年、新型コロナウイルス感染拡大状況が酷くなった頃に出来た曲との事。

何とも言えない閉塞感が、みるみるうちに広がる状況を目の当たりにして、「大好きな春がイヤな想い出にならない様に」と作った曲で、まだ2回くらいしか演奏してないと岸川は話す。

ここで改めて紹介されたギターのムラコシが「新しい環境で、新しい色んな状況で…ワクワクとドキドキが入り混じった感じで…半分超えたな。なっ!」と話すが、岸川に「全然、日本語でお願いします」と突っ込まれて苦笑い。

要はライブで演奏する楽曲の半分を超えたと言いたいらしい(笑)声を殺した笑いが会場全体にも広がる。

「音楽を楽しむスタイルも、人を応援する方法も色々あるんだなぁと思ったこの1年でした。」と話す岸川。

続けて「それにしてもコロナつえーなー!本当は今夜のライブも満席にしたかったけど、色んな状況や意見があって出来なかった…。それでも今日ライブをやったから気づけた事も沢山ある。

今ここに居る人が私にどれだけチカラをくれているとか、来られなくてもどれだけ私を必要としてくれてんだなって事とか…つまり言いたい事は、私はみんなから沢山色んなものをもらって、今 ここに立っているって事です。ありがとうございます。」と、溢れる想いをファンに伝えた。

「正直不安な事も沢山ありますし、何が正解かわからない世の中になってしまったけれども、私が歌って、みんながどういう反応をするかで、新しい歌をどうやって歌っていくか、自分で考えたいと思います。心に問いたいと思います。」そう話した後、岸川は「ひろがれ・ザ・ワールド」を歌い出した。

会場からのアツい手拍子によって盛り上がるステージ。「ひろがれ・ザ・ワールド」に続いて新曲の「狼煙」、そして「熊本さん」の2曲が演奏された後、ギターのサウンドにのせて岸川が「私たち2021年もいつも通り、ただただ、そばにある音楽を楽しんで、愛していきたいなと思います。みなさん、2021年のtoitoitoiもどうかよろしくおねがいします!」と話し、この日最後の曲「日常」を歌いあげた。

セットリスト

  1. じょうろ(アカペラ)
  2. ベイビ
  3. お言葉散歩
  4. 先生 あのね
  5. ボノボ(仮)※新曲
  6. ブルーチリ
  7. キスキスバンバン
  8. オー・マイ・大地
  9. つばめ症候群(仮)※新曲
  10. 春に散る
  11. ひろがれ・ザ・ワールド
  12. 狼煙 ※新曲 / 初披露楽曲
  13. 熊本さん
  14. 日常

緊急事態宣言は解除されたが、変異株の蔓延や陽性者が減らない状況が続く日本の新型コロナウイルス感染拡大状況。世界に目を向けても、ワクチン接種が進んでいる国もあるが、まだまだ収束には程遠い。

音楽のみならず、多くの人の前で披露する事を目的としたパフォーマンス全般の今後がどうなるかも、未だ見えない状況が続いている。

ナニが正解はまだわからない。ただ、伝えたい岸川の歌声と、それを支えるムラコシのギター、toitoitoiの音楽を楽しんでると言う想いに溢れた観客の手拍子、そしてステージから、客席から、発せられた楽しいのエネルギーが、唯一の今日のライブの答えではないだろうか。

演奏する側も、観る側も、色々な制約がある中で、以前と同じとは言い難い状況で、戸惑いながら、手探りしながら、葛藤しながら… そんな状況の中、toitoitoiは「ライブ」と言う狼煙を上げた。

ニューノーマルの風にのり、この狼煙がどこに行くのか、誰に届くのか、これからの行方を知りたいと思わせるライブだった。

All photos by Kaoriko “ossie” Hanawa
Reported by Tomoko Davies-Tanaka

生配信・toitoitoiステーション上野打ち上げ編 〜春のtoitoitoi祭〜

2021年4月10日 toitoitoiのYouTubeチャンネルにて、生配信「toitoitoiステーション上野打ち上げ編 〜春のtoitoitoi祭〜」が開催される。

今回のライブ「狼煙 vol.1」の打ち上げ的意味合いもあるこの生配信。ライブに行った人も、行かなかった人も、当日の様子なども本人達から話されると思うので、ぜひチェックして欲しい。

狼煙グッズ

https://twitter.com/toitoitoi_jp/status/1377128308370890764?s=20

ライブ当日、会場で販売されたtoitoitoiの新グッズは、現在彼らのオフィシャル通販サイトより購入する事が可能だ。

toitoitoiオフィシャル通販サイト
https://toitoitoi.official.ec/

今後のライブ開催については、toitoitoiのWebsite他、ソーシャルメディア等にて決定し次第お知らせをするとの事。夏ごろには…と言う話もあるので、要チェックだ。

toitoitoi プロフィール

ボーカル岸川まきとギターのムラコシによる、千葉県出身の2人組ロックバンドtoitoitoi。

冷静なアコースティックギターと、ワイヤードマイクに繋がれた獣のようなボーカル・パフォーマンスは『よくわからないけどヤバイものを見てしまった』という感想を生み出す。

https://onigirimedia.com/2021/03/08/toitoitoi/

ABOUT ME
おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/