シンガーソングライターのLinolinoが、2年ぶりの有観客ライブを2021年12月22日吉祥寺プラネットKで開催した。当日ライブ終演直後に楽屋で行ったインタビューをご紹介する。
Contents
Linolino(リノリノ)
プロフィール
キュートな明るい声質で良質なPOPSを歌う、熊本県出身「何でもやってみる」がモットーのシンガーソングライター。
2019年5月に配信リリースしたミニアルバム「okonanno」は、アートディレクターに宍戸留美を起用。他リリース作品やライブMVのミュージシャンには、人時(黒夢)や西平彰も参加している
2021年4曲入りコンセプトEP「MÅGIC TIME」を配信限定リリース後、波乱万丈の自身の過去を打ち明け、2021年8月25日 2曲入りコンセプトEP「SEKIRARA」をリリース
Website
http://linolino.jp/
2021年12月22日
吉祥寺プラネットK ライブ
セットリスト
- Heart Beat
- バスタブで恋をして
- Dahlia
- Unbreakable Magic
- Be happy!
- Heart Beat(紺野ぶるまver)
- VICTØRY MØNSTER
- HONEY RABBIT
- Girlfriend
- Red Journey
- SwingSmile SwingStar
出演
Linolino
GUEST
紺野ぶるま
BAND:HONEEY LABBIT
Gt:岡本晃弦
Key:西平彰
Ba:林由恭
Dr:林久悦
Dancer:岩川優希、高橋孝衣
終演後
インタビュー
Text/斉藤貴志
ライブができなくて
「生きていけるのかな」と
――今日が2年ぶりの有観客ライブとのことですが、2年前に最後にやったライブはいつ、どこでしたっけ?
2019年の12月かな? 大阪でやったのが最後で、本当に丸2年ぶりでした。
――MCで話されてましたが、その後、東名阪のツアーがコロナ禍でなくなったとか。
まだ発表はしてなかったんですけど、1年間のスケジュールとして、新曲をリリースして、ツアーを回る話はしてました。
――それができなくなったときは、やっぱりショックは大きくて?
そうですね。ステージを重ねて自分が成長したところはありますし、『Linolinoのライブは楽しいね』と言ってもらえる第一歩が2019年のツアーでした。初めて東京以外の地方を回れて『これからだ!』と思っていた矢先に、ライブができないというのはショッキングでした。
――気力が失せたような?
最初の緊急事態宣言が出たとき、ライブができないショックだけでなく、『生きていけるのかな?』みたいなことも考えました。人と会えないと音楽は作れないし、ひとり暮らしなので、何もする気にならなければ、しないまま。廃人のようになってました。
――どれくらい廃人状態が続いたんですか?
3日くらい(笑)。このままでも仕方ないし、貴重な人生の1日を廃人になっているのがもったいないなと。歌詞を書こう、曲を作ろうとなりました。
ダイエットのために
ビールを断ちました(笑)
――今回のライブは1ヵ月ほど前に急きょ決まったそうですが、リハーサル以外に個人的な準備も何かしましたか?
毎日スタジオに入り続けました。バンドとのリハーサルはたくさんできるわけではないので、2時間でも空いていれば1人でも入りました。
どの曲をやるか考えながら歌ったり、録音したリハの音源を聴きながら『ここはこう歌おう』と見直したり。あと、今回はダンスの練習のために、スタジオに入ったりもしました。
――体力作りもしました?
今年に入ってから、パーソナルトレーニングに週1で通っていたんです。いつかライブができると思って。そこはもう準備していましたけど、見た目のためにダイエットをしました(笑)。
――どんな方法で?
とりあえず、お酒が大好きなんですけど、ビールはやめました。
――禁酒でなく、ビールはやめたと(笑)。
キンミヤ(焼酎)のソーダ割りは飲んでます(笑)。それと、1日の8時間の中で食事をして、残りの16時間は食べないというダイエットがあるんですね。
コロナの時期にそれで痩せて、体型維持のために続けてたんですけど、友だちと会ったりする日はチートデイにしたりしていて。そこを厳しくして、食べるのは8時間どころか6時間に収めて、毎日体を軽くするようにしました。
――飲みたいとか食べたいとか、自分の中での闘いもありました?
意外となかったです。2年ぶりにライブをやれる嬉しさのほうが勝っていたので。でも、このインタビューが終わったら、いの一番でビールを飲みたいです(笑)。
歌おうとしたら
「イヤモニがない!」と(笑)
――それだけ気合いが入ったライブで、いきなりイヤモニを忘れるハプニングがありました(笑)。
そうそう(笑)。今日はたくさんの人が動いてくれて、楽屋にも出入りが多くて、『ありがとう! 本番よろしく。頑張ろうね!』みたいなことを言っていたら、『あと、5分です』となって。
『わかりました!』と準備してステージに出たら、イヤモニを思い切り置き忘れてきました(笑)
――歌い出して気づいたんですか?
スタートで(ドラムスティックの)カン、カン、カンとカウントがあって、歌おうとしたら『ないっ!』という(笑)。でも、やるしかないなと(笑)
リハではイヤモニを付けてなかったのもあり。最後の全スタッフが揃ったゲネプロのときだけはしていてどちらもやってて良かったです(笑)
――確かに、1・2曲目でそれほど支障は感じませんでした。
ただ、3曲目から聴かせる構成だったので、丁寧に歌いたくて。あのイヤモニは『絶対ライブに間に合わない』と言われていたのが、奇跡的に間に合ったんです。
そういうこともあって『SEKIRARA LIVE』だから赤裸々に『忘れてきました』と言って楽屋に取りに戻りました(笑)
――それで、取り付けに楽屋に戻ってから歌った『Dahlia』は、しっとりした情感が込められていました。
『Dahlia』は今日のバンドメンバーと初めてレコーディングした曲なんです。1枚目のミニアルバム『Red Journey』の1曲目で、録ったのは2017年。
4年経って、こうしてみんなで同じステージに立てていることも、すごく嬉しかったです。
――シンガーとしても、当時より深みのある歌い方ができたのでは?
そうですね。音響も照明も付いて、衣装もあって、ヘアメイクも付いて。トータルの演出も含めて今までと違うものが見せられたと思います。
2年の想いを込めて
やりたいことは全部詰めて
――今回のライブで特にこだわったことはありますか?
ライブができなかった2年間の想いを込めつつ、新しいこともやって、お客さんを飽きさせない。やりたいことは全部詰め込みました。
盛り上がる曲でダンスを入れたいというのも前から言っていて、衣装も前半と後半で替えたくて。着替えの間にバンドのコーナーも作りました。サポートメンバーがすごく良いので。
――本当にそうですね。ギター・プロデュースの岡本晃弦さんは山下智久さん、キーボードの西平彰さんは沢田研二さん、吉川晃司さん、氷室京介さんらのバックも務めた大ベテランだったり。ベース、ドラムの林兄弟はゆずや、Do As Infinity、SAといった各々活躍されてるミュージシャン
私も昔はライブを観に行くと歌ばかり聴いてたんですけど今は全てを聴いていて。せっかくならライブハウスにいたり配信を観てくれる人にも、楽器の音も聴いてもらいたいと思って。
――ダンスも前からやりたかったんですね。
もうちょっとステージが大きくなってから、と思ってましたけど、やっちゃえと(笑)
――『Girlfriend』を2人のバックダンサーと振り付きで歌いましたが、すぐ覚えられました?
そうですね。今回ダンサーの岩川さんに『ダンスは初心者です』と伝えて、わかりやすくて、かわいい振りを付けてくださったので。あと、何度も歌っている曲だったこともあります。
岩川さんのお手本の動画をひたすら観て練習しました。
――続く『Red Journey』も飛び跳ねながら歌っていました。
あの曲は昔から飛び跳ねていたんです。コロナの前は客席に降りて回ってました(笑)
――『Heart Beat』のMVで見せた、紺野ぶるまさんの「ちん○謎かけ」とのコラボも、ステージで披露しかったんですか? ぶるまさんからも「大丈夫ですか?」と言われてましたが(笑)。
せっかくですからね(笑)。今回もリハーサルはほぼせず、本番一発でした。
――ステージで2年ぶりのブランクを感じることはなかったですか?
程良い緊張でした。超ドキドキでヤバイとか、声が裏返るようなことはなく、嬉しさや楽しさが完全に勝っていました。
誰かの希望や勇気に
なればと思っていたので
――最後のMCは感極まってました?
最後より『VICTØRY MØNSTER』の前がこみ上がったかも。最後は『終わっちゃう……』というのはありましたけど、次のことも発表できるから、寂しいだけではなくて。
私は『SEKIRARA』をリリースして、変わったことが多かったんです。『VICTØRY MØNSTER』が誰かの希望や勇気になればいいなと思っていたから、この曲を初めて人前で顔を見て歌えることが、ものすごく感慨深かったです。
――『VICTØRY MØNSTER』の前のMCでは「自分の人生は自分だけのもの。夢は諦めないで、周りに何を言われてもやっていく」と熱い話をされていました。
言葉は拙いですけど、それは本当に伝えたいことでした。人生は1回しかないので。
――コロナ禍があって、人生について考えたことも多かったんですか?
そうですね。何が何でも音楽は続けていこう。逆境を乗り越えていこう。そんな気持ちが強くなりました。そう決めて、できたのが『SEKIRARA』でした。
――そして歌われた『VICTØRY MØNSTER』は、力強いメッセージはありつつ、逆風を跳ね返すというより、受け流して進むようなしなやかさを感じました。
たぶん私の声や曲調のせいですね。でも、それがLinolinoっぽくていいかなと思います。
――改めて、ライブが終わった直後の今、どんな想いが胸をよぎってますか?
楽しかったー!! やったー!! という感じです(笑)。
――思い残すことのないステージだったと?
イヤモニを忘れたくらいかな(笑)。この2年、思っていたことや想像していたことを形にできて。お客さんの楽しそうな顔を見ていると、声は出せなくても、そこに人と人がいれば繋がれるんだと感じました。それがとても嬉しかったです。
リリース / ライブ情報
リリース
- 2022年5月25日
Linolino NEW EP 『Ribbon』Release決定
ライブ
- 開催日
2022年6月17日 - 会場
渋谷eggman - タイトル
Linolino Ribbon Loved One Live
コメント
――2022年5月に、ニューEP『Ribbon』をリリースすることも発表されました。もう曲はできているんですか?
1曲だけ、できています。
――どんな感じの曲なんでしょう?
1曲はアップ系。でも、『Red Journey』や『Girlfriend』みたいにライブで超盛り上がるというより、間に置いておくといいような感じです。
もう1曲はバラードになる予定です。しばらくそういう曲を作ってなかったので。
――そして、6月にはshibuya eggmanでライブ。MCで「もっと新しいことをやって、もっと進化したLinolinoを見せたい」と話してましたが、今回のライブでも新しいことを見せたうえで、さらに進化していくんですね。
今の気持ちのまま言ったので、何が新しくなるのかはわかりません。もしかしたら、私のライブでの佇まいかもしれません。
もっと堂々とするとか、気持ちが伝わるようになるとか。あるいは、外見が変わるのかもしれない。でも、進化は見せられたらと本当に思っています。よりふてぶてしくなったり(笑)
――2022年はさらに大きな展開も期待できますか?
いろいろな意味で上に上に行きたいです。メディアで露出が増えるのか、ライブが多くなるのか、曲が増えるのか。それは全部やるつもりで、できる限りのことは何でも挑戦したいです。
――ライブ会場のキャパも増えていきそうですか?
大きい会場にしていきたいです。eggmanはずっとやりたい場所だったので、ひとつの通過点として、他にもいろいろなライブハウスに立ちたいですけど、最終的には日本武道館や東京ドームを目指しているので。2022年もガンガン行きます!。
Text/斉藤貴志