「日本の食文化を魚に戻し鯛!」をコンセプトに活動するフィッシュロック・バンド 漁港 の ボーカル・包丁担当 森田釣竿氏が店主を務める鮮魚店「泉銀」から、不定期で彼のおススメを紹介する、業界初・エンタメ系魚食コラム。合言葉はもちろん「魚食えコノヤロー!!! 」by 森田釣竿。
https://onigirimedia.com/2020/03/07/izugin-dochizame/
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今年の海苔は不作
海苔である。今さら説明不要なくらい一般的で普遍的、おにぎり、海苔巻き、手巻き寿司。包む、巻く、刻むなど、様々な形で和食を支える名バイプレイヤー海苔。
その海苔が今年 2020年は不作らしい。
暖かすぎるって、理由はやはり…
海苔の基礎知識
さて、余りにも一般的で普遍的な海苔だけど、改めて考えると知らない事が結構あるので、不作の理由を知るより先に、まずはここで基本知識をおさらいしてみたいと思う。
海苔は毎年11月頃から摘み取りが始まり、3月中旬(ごく一部の産地では4月中旬)まで続くとの事。この時期がいわゆる海苔の旬。
11月頃、各産地で一番最初に摘み採られた海苔は「一番摘み」「初摘み」と呼ばれ、やわらかく、香り高い風味が特徴らしい。
冬の一番寒い時期に、海から摘み取られる海苔。そんな厳しい環境で海苔が摘まれているとは知らなかった。
(情報出典: 海苔JAPAN|海苔で健康推進委員会ホームページ )
海苔の産地
海苔の生産地は、大別すると以下3ブロックに分けられると言う。
- 東日本ブロック:宮城、千葉、神奈川、愛知、三重等
- 瀬戸内ブロック:大阪、和歌山、兵庫、岡山、広島、山口、香川、徳島、愛媛など瀬戸内海に面するエリア、
- 九州ブロック:福岡、福岡有明、佐賀有明、大分、長崎、熊本、鹿児島
(情報出典: 海苔JAPAN|海苔で健康推進委員会ホームページ )
海苔の歴史
縄文時代から食用されていたともいう海苔。そもそも「海苔」の語源は、ぬらぬらしたモノ=ぬらだと言う説もあるらしい。
山本山海苔店のWebsiteにある海苔の歴史によると、1684~1703年頃 毎日将軍家に鮮魚を献上しなければならなかった江戸の漁師が、浅瀬に枝のついた竹などで生簀を作り常に魚を用意。冬になるとその枝にたくさんの海苔が生えることに着目したことが海苔養殖が始まりと書かれている。
この様に、全国に広がる海苔の産地ではあるが、江戸前=東京湾での海苔の養殖は昔から盛んであった様だ。
その東京湾の海苔が今年は不作….
黒鯛が味をしめてしまった?!
元々 黒鯛 (クロダイ) は、海苔は食べなかったと言われているが、昨今の地球温暖化で食べていた海藻が減少。そこで養殖されている海苔を食べる様になってしまったらしい。
これまでは、千葉県富津市や木更津市辺りまでの海苔に被害が多かったが、昨今では浦安、市川、船橋、習志野に跨る東京湾 奥部最大の面積の干潟 三番瀬の海苔までが被害にあう様になったとの事。
地球温暖化による海水温度の上昇だけでなく、その結果の食物連鎖による被害も海苔の不作に影響を与えているらしい。
森田釣竿:浦安はディズニーランドのイメージが強いと思うけど、実はそのスグ近くの海で、海苔が養殖されてるんだよね。
1971年に漁業権を全面放棄した浦安だけど、元々は漁師町。海苔の養殖は、その漁師町の名残を残す数少ないモノの一つ。
この三番瀬で獲れた海苔は、市川や船橋の漁師さん達が居るからこそ、今でも食べることができるんだよね。浦安生まれ、鮮魚店三代目の俺も、それには心から感謝してる。
生海苔・乾燥海苔(板海苔)・焼き海苔
元々海苔は海藻だが、「海苔」と言う海藻はない。
水中の岩石に苔のように着生する藻類全般を表す語で、広義には食用とする紅藻類・藍藻類の総称との事。(出典:Wikipedia)
これをすいて、紙状に乾燥させたのが、良く目にする四角く黒い紙の様な、いわゆる海苔。 乾燥海苔や板海苔と呼ばれている。さらにこの乾燥海苔をあぶったモノが焼き海苔。
生海苔は、良く見る海苔の乾燥させる前の状態である。
海苔の食べ方アレコレ
まず生海苔。佃煮などはスーパーでよく見かけると思うが、新鮮なモノは水でサッと洗ってから、三杯酢とあえてお酢の物にしたり、アツアツに作ったお味噌汁やお吸い物に、具として加えると磯の香りが立って美味しいとの事。
また板海苔(焼き海苔)は、海苔巻きや手巻き寿司に使うのはもちろん、森田氏は唐揚げに巻いて食べるのが好きだとか。
さらに生海苔・板海苔問わず、意外かつおススメの食べ方を聞いてみたところ
因みに生海苔は冷凍保存も可能との事。使う時は自然解凍して使うと良いそうだ。また板海苔も冷凍保存してもOKとの事だが、その際は湿気が入らない様に、ジッパー付きの袋に居れる等の工夫が必要だそうだ。
海苔の保存方法、また料理方法詳細は以下サイトにも掲載されています。
こちらは、泉銀さんで日曜限定で販売している酢飯に、当日お店で購入したマグロのブツとオーロラサーモンをのせて作ったオリジナル海鮮丼。
そこに初摘みの焼き海苔をちぎってふりかけると、磯の香りがまた一層引き立つ。寒い冬の海の中、さらには不作の中、摘み取られて出来た海苔。有難く頂きたい。
※酢飯の販売は日曜日のみの限定です。
※店舗の品ぞろえは日々変わるので、記事でご紹介した品物が毎回あるとは限りません。その点はご理解・ご了承下さいませ。
鮮魚店・泉銀
森田釣竿氏のお店
浦安 鮮魚店 泉銀
住所:千葉県浦安市堀江3丁目25−1
営業時間:11時00分~17時30分(土・日を除く)
土曜日:8時00分~17時30分
日曜日:8時00分~14時00分
定休日:水・木
バンド 漁港 プロフィール
1986年に結成され、2004年ユニバーサルミュージックよりメジャー・デビューも果たしているバンド・漁港(gyoko)。
現在のメンバーはボーカル・包丁担当で、鮮魚店「泉銀」店主の森田釣竿氏と、ギター他担当の深海光一の2人。 森田釣竿氏は2016年に水産庁が任命する「お魚かたりべ」にも選出されている。
日本古来の食文化・魚食を広めるべく、店舗はもちろん、様々なステージにて活動する 筋金入りのフィッシュ・ロッカー、それが森田釣竿だ