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特集:星新一の小説の様な多重なパラレル・ワールドからの星の王子様? 黒田勇樹の劇団「令和反戦楽団」旗揚げ公演【スタン・反戦】レポート!

10月8日(火)〜10月14日(月)まで、三栄町LIVE STAGE(東京都新宿区三栄町25-45 B1F)で上演されている 黒田勇樹の劇団「令和反戦楽団」旗揚げ公演 『スタン・反戦』 を、巨大台風19号関東上陸の前日 10月11日に観劇した。その舞台の様子をレポートする。

レポート:Tomoko Davies-Tanaka

スタン・反戦

※10月12日(土)14:00/18:00の公演は、台風19号の接近に伴い中止となった。10月13日(日)14:00/18:00公演については開催予定との事だが、当日の気象状況や交通機関の情報を見ての判断となるとの事。最新の情報は三栄町LIVEのTwitterでご確認頂きたい。三栄町LIVE Twitter: https://twitter.com/saneicho_live @saneicho_live



改めて黒田勇樹とは?

黒田勇樹の事を改めて説明する必要はあるだろうか?と思うほど、知られた元子役の俳優である。1歳からモデルとして活躍し、NHK大河ドラマ『武田信玄』にて信玄の孫・武田信勝役で、1988年に俳優デビュー。1990年 帝国劇場のミュージカル『オリバー!』で主役に抜擢、8歳の帝国劇場最年少主役を務める。その後『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら( 1994年・TBS)』や、『ひとつ屋根の下2 (1997年・フジテレビ) 』等、数々のTVドラマに出演。1998年には出演した山田洋次監督の映画『学校III』にて、キネマ旬報賞新人男優賞、日本映画批評家大賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞、全国映連賞男優賞を受賞。 全く持って華々しい俳優キャリアである。

その後も『仮面ライダー剣』の映画とドラマに出演するなど特撮ドラマにも進出。フリーランスになってからは、“ハイパーメディアフリーター”の肩書で、Twitterは基よりメルマガ配信やネットでの番組配信を精力的に行い、ネット上では「ニーサン」の愛称で親しまれる存在となる。「つぶやきメディアサミット2012」ではツイートエンターテインメント部門賞、および年間大賞であるゴールデントゥギャり大賞を受賞。才能の塊なのか?

俳優業としては、ワークショップなどでの演技指導と映像制作を経て、2014年1月に俳優・演出家のIKKANの誘いで舞台に復帰。劇場主宰の演劇賞も受賞、さらに映画監督・飯田譲治の初舞台化作品にも出演。2016年2月にはゆうばり国際ファンタスティック映画祭に監督作品 『恐怖!セミ男』 が出展される。

…もうお腹いっぱいである。 現在は俳優以外にも、脚本・演出・監督としても活動する黒田勇樹。その彼が自身の劇団「令和反戦楽団」を2019年10月に立ち上げた。

令和反戦楽団とは?

劇団なのに楽団とはこれ如何に?だが、楽しい団と考えればナシではない。その名の通り基本はコメディーを上演する劇団との事。在籍劇団員は黒田勇樹を含め現在は5名程度。その他は毎回ゲスト等にて舞台を上演していく予定だそうだ。 詳しくは旗揚げ公演『スタン・反戦』を前に、劇団立ち上げについての想いをエンタメ&ニュース総合メディア TOKYO HEADLINE のインタビューで、黒田氏本人が語っているのでそちらをご参照頂きたい。

【インタビュー】黒田勇樹が「戦争反対」の思いも込めた劇団「令和反戦楽団」旗揚げ
https://www.tokyoheadline.com/467416/

TOKYO HEADLINE キャプチャ画像

【インタビュー】黒田勇樹が「戦争反対」の思いも込めた劇団「令和反戦楽団」旗揚げ
https://www.tokyoheadline.com/467416/
※写真は同サイトのキャプチャ画像

スタン・反戦

【時には現代、時には中世、時には童話、時には異世界、時にはパラレルワールドへと、何度も生まれ変わりながら多次元宇宙を旅する、争いに巻き込まれる運命を背負った弟と、争いを引き起こす運命を背負った兄が織りなす、はるかなるプロレスラー兄弟の物語】と、公演を行っている三栄町LIVEのWebsiteにはある。
 
筆者は当日 迫りくる台風19号の影響もあり舞台の冒頭を見逃してしまったが、なんと今回本作に出演している和太鼓奏者・山田啓吾 の迫力の演奏、そしてビックリするようなオープニングが用意されているとの事。ぜひこれから足を運ぶ人は観て欲しい。因みにこの演奏を見逃すと「せっかくの和太鼓奏者の無駄遣いではないか?」と思う様な展開がこの後は続く。しかし、けっして無駄遣いではないのだ。では舞台のどの辺りで「無駄遣いではなかった」とわかるのか?それも見どころの一つである。

星新一の小説の様な多重なパラレル・ワールド

本作品の主要な登場人物は4人。黒田勇樹(本人)、黒田勇樹の弟の黒田本気(マジ:田中惇之)、アナザー黒田勇樹(春見しんや)、そして様々な世界で毎回「私の為に争わないで!!」 と叫ぶ女(皇希)。

舞台冒頭はプロレスラー兄弟の黒田勇樹ことニーサンと、黒田勇樹の弟である黒田本気(マジ)が争っている。倒されるニーサン、「私の為に争わないで!!」と叫ぶ女、ニーサンから分離する形で現れるアナザー黒田勇樹。黒田本気(マジ)とアナザー黒田勇樹も争い、そして黒田本気(マジ)は敗れる。このパターンが、どこかで見た様なナンセンスな世界=宇宙で、何度も何度も繰り返される。宇宙が変わっても人が変わらない限り、同じ運命を繰り返し、同じ争いを繰り返す…のか?そんな黒田本気(マジ)の疑問にアナザー黒田勇樹が答える「カレーは、素材と作り方が変わらない限りカレーなのだ」と。

大切なモノは目には見えない

言わずと知れた「星の王子様」の有名なセリフである。何度も何度も多次元の宇宙移動を繰り返す登場人物達。彼らが最後に行きついた宇宙は「星の王子様」の宇宙。ニーサンこと黒田勇樹は「星の王子様」の作者で、フランス人作家 サン・テグジュペリを演じる事になる。因みに現実世界の黒田勇樹は、1993年に出版された星の王子様のその後をモチーフとした写真家・安珠の写真集「星をめぐる少年」でモデルを務めている。 その時、黒田勇樹は紛うことなき美少年「星の王子様」だった。

書けない!!!

別にこのレポートが書けない訳ではない。舞台上のニーサンこと黒田勇樹が叫ぶのである「書けない!!!!」と。多次元を設定した為に、シーンを重ねすぎて書けなくなったのだ。しかし果たして書けない作家は舞台上のサン・テグジュペリ=黒田勇樹なのか、それとも現実世界の黒田勇樹なのか???登場人物、いや出演する役者達も舞台上で戸惑い、なだめすかし、駄々っ子の様に舞台の上で寝転がり手足をばたつかせる黒田勇樹を呆然と眺める。そして…。

制限ナシで表現する事は逆にシンドイ

舞台終了後に黒田氏本人が苦笑いしながら話してくれたことだが「制限ナシで表現する事は逆にシンドイ」そうだ。 言いたい事、表現したい事、やりたい事をやるのが、創る側としてはやはり一番の醍醐味だろう。そんな時に社会の常識、社会のルール、様々な制約や制限、マーケティング、ターゲティング等々は創り手にとって邪魔でしかない。例えばJ〇〇RACとか。だが、制限があるからこそ書きやすい場合もある。 作・演出をし始めて既に11本を手掛け、満員御礼も経験した黒田勇樹が今回、「自由にドウゾ」と言われて逆に書けなくなったとの事。

そんな現実も含めた多次元宇宙が交錯する舞台「スタン・反戦」。この続きが知りたい人は、ぜひ劇場に足を運んでほしい。

スタン・反戦
三栄町LIVE 『スタン・反戦』Webページ:https://bit.ly/2VBhqoZ
『スタン・反戦』チケット予約ページ :
https://ticket.corich.jp/apply/103038/
黒田勇樹の弟の黒田本気・マジ役:田中惇之、黒田勇樹本人役・黒田勇樹
この2人がお待ちしております。
左: 黒田勇樹の弟の黒田本気・マジ役:田中惇之
右:黒田勇樹本人役・黒田勇樹
令和反戦楽団のTwitterアカウントも要チェックhttps://twitter.com/r_hangaku

アナザー黒田勇樹役:春見しんや 、
舞台後半では星の王子様を演じる 皇希
見事な殺陣も披露する アナザー黒田勇樹役:春見しんや (左)、舞台後半では星の王子様を演じる 皇希 (右)

筆者・蛇足

令和反戦楽団、そして『スタン・反戦』。なぜ反戦?なぜ今、このタイミングに?と正直観る前に思っていた。あまりにもベタでストレートすぎるメッセージ「反戦」。しかし舞台を観終わって、そこに込められた意味がなんとなく分かった気がした。
反戦とはつまり戦争に反対すること。どんな思想やイデオロギー、価値観を持っていても、普遍的な人々の願いであり人々が実現したい事、 それは平和である。しかし、それは一向に実を結ばない。長きに渡り人々が願っている事なのに実現されない。人々は争い続け、平和を手に入れる為に反戦と叫び続けなければならない。そんな状況に対する黒田勇樹からの、現時点での回答であり決意表明が『スタン・反戦 』であり、今後その時、その時の想いを形にする場、それが令和反戦楽団はないのだろうか?
人々が普遍的に願う「平和」を手に入れるために、やりたい事をやる為に「反戦」を掲げる劇団「令和反戦楽団」。今後も注目していきたいと思う。

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Team Little-Big
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フリーランスPRエージェント 海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキング、時々ライター業も行う。 インタビュー記事:https://ledgeweb.com/740/