「日本の食文化を魚に戻し鯛!」をコンセプトに活動するフィッシュロック・バンド 漁港 の ボーカル・包丁担当 森田釣竿氏が店主を務める鮮魚店「泉銀」。
森田氏の「魚食」へのこだわりが詰まったお店から、不定期で彼がおススメする魚を紹介する、業界初・エンタメ系魚食コラム。合言葉はもちろん「魚食えコノヤロー!!! 」by 森田釣竿。
Contents
貝食えコノヤロー!
前回、前々回に続き、今回も「貝」です。
https://onigirimedia.com/2020/02/22/izugin-tairagi/
https://onigirimedia.com/2020/02/17/izugin-sakuramankaikaki/
正直思いました、このコラムの合言葉は「魚食えコノヤロー!」なんだけどな…と。鮮魚店「泉銀」には、沢山の珍しかったり、ユニークな魚が、今日も沢山並べられている訳です。
例えばこちら
「ほうぼう」です。丸1匹です。刺身に煮つけ、アクアパッツア等もおススメだそうです。
ステージで森田釣竿氏が言う「マグロは捨てる所がございません」を証明する様に、泉銀では様々なマグロの部位も売っています。
来週3月3日ひな祭りの定番、ハマグリもありました。
それなのに、今回も森田釣竿氏がおススメしたのは「貝」。それも「あさり」。
正直、当たり前すぎると思いました。一般的過ぎると。どうしろと言うんだと….。しかし、あさり、奥が深かった!
あさりは激減している
調べたところ、まず最初に気になったのは「あさりは現在激減している」と言う事実。
水産庁の「二枚貝漁場における問題点と環境改善技術」と言う報告書によると
全国のアサリ漁獲量は、昭和50年代に約16万トンのピークを記録した後、昭和60年以降は減少し、平成20年以降には 3万トン前後となった。この減少の要因としては、埋め立てや干拓を含む海岸工事、 河川改修、水質汚濁などによるアサリ生息地の喪失、さらには底質の泥化、貧酸素化、赤潮の発生など、アサリ生息環境の悪化があげられる。
との事。一般的な食材と思っていたけれど、環境汚染や地球温暖化の影響もあり減少していたなんて…。ちょっとショック。
内湾の浅い海底にいることから「浅利」
潮干狩りで獲れるあさりは、やはり浅い海底が主な生息地との事。
名前は海の浅い場所に居るから「浅利」と言う説と、浅いの「あ」と、砂泥底にいる事を表す「砂利=さり」からと言う説。あるいは、海辺で手軽に獲れることから「漁(あさ)る」が転じてあさりとなったと言う説もあるそうです。
因みに、全国どこでも同じ味だと思っていたら、若干違いがあるとか。水の違いや環境の違いが影響するのでしょうかね?
- 愛知産/色は茶系。殻が薄く、身がふっくらしている。
- 千葉産/白黒、茶、ブルーなど色が多彩で鮮やか。
- 北海道産/やや大型で貝殻が厚く、目だった模様がなく、ベージュがかった灰色で地味な印象。
情報出典: オリーブオイルをひとまわし
あさりの産地
今回、泉銀で販売されていたのは熊本産。しかし、日本での漁獲量1位は愛知県で、さらに現在は中国他からの輸入物も多いとの事(日本の漁獲量がそもそも減ってますからね)
旬は前回もお伝えしたように産卵期である春、しかし関東以南では産卵期が春秋の2回ある為、秋も旬になるとの事。
関東では一般的に5月のゴールデンウイーク辺りがピークであり、水も温む時期だけに、潮干狩り等も盛んにおこなわれますが、関東以南では3月、そして9月~10月が美味しい時期になるそうです。
情報出典:旬の食材百科
様々な料理に使えるあさり
あさりと言えば、お味噌汁の具やパスタ等、和洋中問わず様々な料理に使える非常に便利な食材。冷凍保存が出来るのも有難いです。
ところで江戸時代、東京湾でも沢山獲れたあさり。その頃の様子が窺い知れる、あさりを使った料理と言えば「深川めし」が有名です。
元々、深川の漁師さんたちが仕事の合間に食べる賄い飯であった「ぶっかけめし」が、深川めしのルーツとの事。いわゆる当時のファスト・フードだったって事ですね。
出典:深川めし振興協議会
浦安はあさりの町?
森田氏のお店「泉銀」のある浦安も、昔は沢山のあさりやハマグリが獲れる豊かな漁場だったとの事。
往時をしのばせる、剥き身を串にさして甘辛いタレをつけて焼いた「焼きあさり」は、浦安名物として、あの「ブラタモリ」や「アド街ック天国」でも紹介されたそうです。
さらに 浦安市郷土博物館のマスコットキャラクターは、なんとあさりの「あっさり君」 。
浦安市・市役所Websiteより
郷土博物館マスコットキャラクター「あっさり君」
博物館のマスコットキャラクター「あっさり君」は、平成14年に市民の皆さんからの公募により誕生しました。
べか舟(のり採り舟のこと)、ねじりはちまきと、漁師町だった浦安の伝統的なスタイルに、名産のあさりを組み合わせた浦安らしさを感じることができるかわいらしいキャラクター。
因みに特技は「投網」と「べいごま」 だそうです。
あさりのふうかし
http://nipponsyokuiku.net/kenko/17/010/aji2.html
身近で、良く食べる食材であっても、色々調べてみると奥が深い事を教えてくれた「あさり」。
歴史や地球温暖化等、この記事を書きながら様々な事に思いを巡らせました。さすが…森田釣竿氏、侮れん。
※店舗の品ぞろえは日々変わるので、記事でご紹介した魚が毎回あるとは限りません。また価格もその時により異なります。その点はご理解・ご了承下さいませ。
鮮魚店・泉銀
森田釣竿氏のお店
浦安 鮮魚店 泉銀
住所:千葉県浦安市堀江3丁目25−1
営業時間:11時00分~17時30分(土・日を除く)
土曜日:8時00分~17時30分
日曜日:8時00分~14時00分
定休日:水・木
バンド 漁港 プロフィール
1986年に結成され、2004年ユニバーサルミュージックよりメジャー・デビューも果たしているバンド・漁港(gyoko)。
現在のメンバーはボーカル・包丁担当で、鮮魚店「泉銀」店主の森田釣竿氏と、ギター他担当の深海光一の2人。 森田釣竿氏は2016年に水産庁が任命する「お魚かたりべ」にも選出されている。
日本古来の食文化・魚食を広めるべく、店舗はもちろん、様々なステージにて活動する 筋金入りのフィッシュ・ロッカー、それが森田釣竿だ。