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ロック を デザイン する男・サカグチケン / 第2回・パンクとの出会い、亜無亜危異(アナーキー)との関係性【連載特集】

hide、BUCK-TICK、LUNA SEA、THE BLUE HEARTS、THE MAD CAPSULE MARKET’S、DJ KRUSH、MUCC、人間椅子など数多くのロック・アーティストのアートワークを手掛けるアートディレクター サカグチケンの連載・特集。

第2回目の今回はサカグチケンの運命を変えたパンク、そしてバンド 亜無亜危異(アナーキー)との関係性について紹介する。

ロック を デザイン する男・サカグチケン / 第1回・デザインのチカラ【連載特集】亜無亜危異(アナーキー)、hide、BUCK-TICK、LUNA SEA、THE BLUE HEARTS、THE MAD CAPSULE MARKET'S、DJ KRUSH、MUCC、人間椅子など数多くのロック・アーティストのアートワークを手掛けるアートディレクター サカグチケン。彼の多岐に渡る作品の数々、そして活動の数々を、連載特集にて紹介する...

パンク、そしてTHE SEX PISTOLS

アートディレクター・サカグチケンを目覚めさせたのはパンク、正確にはTHE SEX PISTOLSとの出会いだという。

1975年にキャロルの解散コンサートをテレビで見て以来、ロックに魅了されたサカグチケンは、矢沢永吉氏の小説「成りあがり」を読んでThe Beatles、The Rolling Stonesを知った。

初めて自分で買ったLPはKISSの「地獄の軍団(Destroyer)」。そのジャケットを見てアートデザインに興味を持ち、またレッドツェッペリンのジャケットの美しさにも惹かれたと言う。

そんなロック少年のサカグチケンが、ある日、友達の家に行った時、THE SEX PISTOLS のアルバム 「NEVER MIND」に出会う。

サカグチケン:輸入盤の黄色いジャケットを初めて見た時ビックリしたね。今まで見た事も無いような、簡単なジャケットで、あ、コレ俺の仕事に出来るなと思ったんだよね。

サカグチケン:で、針を落として聴いてみたら、もう心臓を飛び越えるような、弾丸の様な、音が飛び込んできて、歌っている事もショッキングな内容で、またビックリした。

その時、サカグチ少年14歳。THE SEX PISTOLSの「NEVER MIND」に触発されて、ジャケットを作る人になろうと決めたと言う。

サカグチケン:高校は数学とか嫌いだから無いとこ行きたいなと思って、高松工芸高校のデザイン科に入ったんだよね。

亜無亜危異(アナーキー) との出会い

高校に入ってしばらくしてから、サカグチケンは 「亜無亜危異(アナーキー)」と言うバンドがデビューしたと言う話を聞く。

サカグチケン:79年~80年頃かな。みんなで国鉄(当時のJR)の作業服、ナッパ服着て、腕章つけて、なんかスゲーのが出てきたなと思ったんだよね。

さっそく大阪で亜無亜危異 のライブを観たサカグチケンは、そのカッコよさにシビれた。

サカグチケン:亜無亜危異にはメンバーと同じ格好をした親衛隊がついていたんだよね。で、ライブが始まったと同時に全員がステージに上がっちゃって、誰がメンバーかもわかんない(苦笑)全員がステージで踊ってるって言う。

それを見て「カッコイイなぁ。そうだ、俺も親衛隊作ろう」と思って、亜無亜危異親衛隊・讃岐支部って言うのを勝手に作ったんだよね。で、亜無亜危異がライブで高松に来た時、学校を休んで、メンバーを出迎えたんだ。

その時、メンバーとは初対面だったんだけど、距離のない感じで接してくれて、それが凄く嬉しくて。で、ライブが終わった後の打ち上げで「俺、アルバム・ジャケット作る人になりたいんですけど、どうしたらいいかな」って聞いたら、「わかんね~なぁ。まずは東京に出てくる事じゃねぇか?」って言われたんだよね。

その後、サカグチケンは就職を機に、まずは大坂に出て、さらに東京に上京する事になる。

亜無亜危異 との再会

就職後、大阪支社に配属されデザインの仕事を始めたサカグチケンだが、東京に行きたい気持ちは膨らむばかりだったと言う。

サカグチケン:大阪で仕事しながら、ライブとか見ながら、アルバム・ジャケット作るにはまだ早いのかなぁ、経験をもう少し積んで自分の仕事に自信をつけてからかなぁとか思いながら、次は東京だと狙ってて。

で、タイミングを見計らって、NEW YORK ADC 国際展に出展したら入選して。自信もついたんで会社に退職願いをだしたんですよ。入社してから2年目くらいかな。俺、東京行きたいんでって。そうしたら、転勤が決まって東京に行ける事になったんだよね。

その後、東京で様々なナショナル・クライアントのデザインや広告を手掛けるチームに配属されたサカグチケンは、さらにアートディレクターとしてのキャリアを積んでゆく。

そんな中、亜無亜危異のマリ(Gt)が痴話喧嘩の末に元妻を刺し、逮捕されると言う事件が起きる。 亜無亜危異は活動休止に追い込まれたが、残ったメンバーはバンド名を「THE ROCK BAND」と改名し活動を継続した。

サカグチケン:マリが逮捕されて、亜無亜危異って名前を取り上げられて、THE ROCK BANDになって「アナーキー」ってアルバムを出したんだけど、コレはいけないなぁと思って。

それで自分なりに解釈した彼らの「デラシネ」って曲をイメージしたポスターと、マリの事件の新聞記事をポスターにしたのを勝手に作ったんだよね。で、それを持ってTHE ROCK BANDのライブに行って、終了後 客がはけるのを待って「四国で亜無亜危異の親衛隊やってたサカグチケンです!」とか言って楽屋に入っていったんだよね。

「マリの事件に関して、考えがあってポスター作ってきたんで見て下さい」ってメンバーに見せたら「おぉ!なかなかいいじゃねぇか」って言ってくれて、そのまま飲みに行ったんだよね、メンバーと。

最初の出会いはファン(親衛隊)とミュージシャンとしてだった。しかしこの再会は、サカグチケンの亜無亜危異に対する想いを込めたポスター、つまり作品を通じての出会い、デザイナーとミュージシャン、クリエーターとアーティストの出会いとなった様だ。

なお、この時に制作したポスターは 公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA) の「年鑑・日本グラフィックデザイン’86」にポスター『ANARCHY』として掲載される。

2019.6.4 江古田マーキーで開催されたライブを収録した動画

江古田マーキー は 亜無亜危異が初めてライブを行った場所。41年振りのライブとなったこの日は、メンバーであるギタリスト「マリ」こと逸見泰成の三回忌だった。当日は会場内にマリの写真、ギター、衣装等も展示。ライブの模様に加え、メンバー4人がマリを語る座談会も動画に収録されている。

四月の海賊たち

その後「年鑑・日本グラフィックデザイン’86」を見た亜無亜危異のボーカル 仲野茂から「今度、新宿ロフトでキャロルの内海利勝と、サンハウスの柴山俊之と、頭脳警察のPANTAと、俺とでイベントやるからロゴとフライヤー作ってくれ」と連絡が入る。

そのイベント「THE COVER」が、サカグチケンにとって亜無亜危異(当時は THE ROCK BAND)との初めての仕事となった。

サカグチケン with 仲野茂 (亜無亜危異)

さらに同年鑑を見た、当時 THE BLUE HEARTS の甲本ヒロトからも連絡があり、インディで出すCD(ブルーハーツのテーマ/チェルノブイリのテーマ)のジャケットデザインの制作を依頼され、サカグチケンは手掛けている。

サカグチケン:そうこうしていくうちに、THE ROCK BANDが次のアルバムを作るんで、そのアルバムジャケットを作ってくれって話になって。

その時 The Rolling Stonesのベロマークに匹敵するくらい目立つマークって何があるだろうって考えて、やっぱり人間って言うのは「眼」じゃないか?と思って、自分で「眼」のマークを描いて持ってたら気に入ってくれて。

「瞳の中に老人の横顔を入れたらカッコイイんじゃないか?」ってギターの藤沼伸一くんとかに言われて入れてみたり、Out of Controlって文字は入れてくれって言われたんで入れたりしてジャケットが出来たんですよ。

四月の海賊たち/THE ROCK BAND

その後、このジャケットデザインは、Tシャツやバッチにも採用され、THE ROCK BANDのアイコニックなデザインとなったそうだ。

サカグチケンはこれ以降、様々なアーティストのジャケットデザインを手掛けていく事になるが、その話については次回ご紹介したいと思う。

なお、サカグチケンは亜無亜危異の以下アルバムのジャケットデザインも手掛けている。

  • 亜無亜危異 Vol.1 (ベスト盤)
  • アナーキー Vol.2 (ベスト盤)
  • ANARCHY LIVE 1994
  • ディンゴ
  • THE BLAST OF 亜無亜危異 (ベスト盤)
  • ANARCHY SYNDROME [LIVE]
  • 26周年コンプリートBOX 内祝

サカグチケンの手掛けたジャケットデザインは、最新作含め ジャケットデザインドットコムで閲覧する事が出来る。

クラウドファンディング

現在、サカグチケン公認の有志応援団 [KEEP ALIVE]によって、 2020年5月2日〜7日サンポートホール高松 で開催される サカグチケン展覧会『ロックをデザインする男-The man who designs Rock’n’Roll』を支援する為のクラウドファンディングが行われている。

サカグチケンの生まれ故郷である高松での凱旋展示となるこの展示会。クラウドファンディングで調達した資金は、展示会の運営及び販売作品を飾る額装費用に使用されると言う。

「時代を駆け抜けるサカグチケンのアートワークのエナジーを、次の世代へ繋いで行きたいというのが私たちの強い思いです。」と、同ページで [KEEP ALIVE] は支援を呼び掛けている。

ポスター

サカグチケンがデザインをしたポスター3種類を、 現在以下Webshopで販売している。

サイズは1030 × 1456mm、各種限定10部、額装なし、サカグチケン 直筆サイン入りとの事。サカグチケンがデザインしたポスターを入手できる貴重な機会なので、気になる人はぜひチェックして欲しい。

サカグチケン・ポスターWebshop
https://sakaguchiken.base.shop/

ポスター・亜無亜危異(1990)

亜無亜危異 ニューアルバム・リリース&ツアー

亜無亜危異

今年、デビュー40周年となる亜無亜危異が、待望のNEWアルバムを初夏にリリース。そのリリース記念となるワンマンツアーも、6月から開始する予定だ。亜無亜危異として数十年振りのライブとなる。

チケットは現在 HP先行予約受付中 だ。受付締切りは2020年3月9日23:59まで。一般発売は3月21日(土)午前10時から。詳細は亜無亜危異Website にてご確認下さい。

■アルバム・リリースツアー
(タイトル未定)

6/13 福岡CB
6/14 広島BACK BEAT
6/27 金沢VANVAN V4
6/28 京都磔磔
7/04 札幌BESSIE HALL
7/11 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
7/12 仙台CLUB JUNK BOX
8/15 名古屋RAD HALL
8/29 高知CARAVAN SARY
8/30 大阪Shangri-la
10/17 神田明神ホール
10/18 神田明神ホール
12/19 沖縄Output
※東京公演2デイズの詳細は後日発表

BUCK-TICK

今回は、サカグチケンとパンク、そして亜無亜危異との関係性に焦点を当ててご紹介した。次回は、サカグチケンが手掛けた他アーティストのジャケット制作、そしてアーティストとのエピソードを紹介したいと思う。(3月中に掲載予定)

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Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/