音楽

独自のスラップ奏法を駆使しながら歌う RAYJI 3月13日 渋谷DESEOライブレポート(特集)

独自のスラップ奏法を駆使しながら歌う RAYJI 主催のイベント「RAYJI祭りダ!」が、2023年3月13日 渋谷DESEOで開催された。当日はRAYJI に加え、普段から交流のあるソロアーティスト、直道、ACT ONE AGEの3組が出演。本レポートではRAYJIのパフォーマンスに焦点を当ててお届けする。


RAYJI とは

独自のスラップ奏法を駆使しながら歌い、スラム奏法、オリジナルのチューニング、カポの使用など、独自のプレイスタイル。アレンジ、作曲、作詞も自身で行う RAYJI(レイジ)。

V系バンドで約4年間活動後 ソロ活動を開始。ベース1本で日本全国を廻り、2ヶ月半で全県制覇。

2017年にニューヨークに渡り、オーディションを勝ち抜き「ジャパンフェス」に出場。2018年にはソロ活動本格始動ワンマンライブをShibuya Club Asiaにて開催。

2019年に再び渡米し、ニューヨークにて地下鉄駅などでのライブを1ヶ月にわたって続けた他、同年シンガポールにも渡り、単独ライブが決定するも、コロナ禍により延期となる。

2021年以降は、配信ライブを積極的に行い、8月にはワンマンライブを渋谷DESEOにて開催。また、大阪、渋谷、吉祥寺で主催ライブを開催するのと並行し、定期的に楽曲をデジタルリリース。

ライブ、定期的な楽曲デジタルリリースに加え、昨秋より演奏動画をInstagram、YouTubeにて毎週更新中。特に海外からのアクセス、コメントが急上昇なのを受け、この春夏はアジアツアーを敢行予定している。

RAYJI SNS リンク
https://profu.link/u/rayji666
アーティスト Webpage
http://www.a-linemusic.com/rayji/

3月13日 渋谷DESEO
RAYJI ライブレポート

text:Sally
Live Photo:菊島明梨
(@voulpiw)
Edit: Onigiri Media

2023年3月13日渋谷DESEOで開催した RAYJI主催イベント「RAYJI祭りダ!」。

普段から交流のあるソロアーティスト 直道ACT ONE AGEも出演した本イベントでは、RAYJIは2人のステージでも何曲かコラボ出演。

そして最後に、自身の出番を迎えた。

客電が落ち、サイバーチックなSEが流れ出すと共に幕が開く。スモークの中にすらりと伸びる黒い影。

SEがフェードアウトした後、RAYJIの「楽しもうぜ!」という力強い声と共に、2023年2月にリリースしたデジタルシングル「THE UNIVERSE」が演奏された。

出だしからいきなりド派手なスラップ奏法が炸裂、彼のルックスの美しさに集中していたオーディエンスの視線が、一気に彼の手元へ集まっていく。

同時に、ベースの低音が瞬く間に会場を支配した。

「In the end, I will break myself. I accepted my fate. But got good luck. / 最後に自分を破壊するのさ。僕はその運命も受け入れたし幸せを感じていたよ」という、切ないフレーズから始まる「THE UNIVERSE」。

RAYJIのステージが始まってから、僅か1分ほどだというのに聴覚、視覚、そして体感を奪われたような感覚に陥る。カオス、でもどこか心地良い。

過去にビジュアル系バンドで活動していたということが感じ取れる、RAYJIの艶めかしい中音域の声がそっと耳に語りかけてくる。

と思ったら、この日のサポートドラマー FUMIYA(UnluckyMorpheus)のパワフルなリズムと共に、再びスラップ奏法が聴こえてくる。

それは激しいのに伸びやかで、音の一粒一粒が確実に耳に届いた。いや、脳に直接伝わってきたとする方が近いかもしれない。

体や脳に重低音を感じているからか、次第に感覚が飽和状態になっていき、段々と精神が爆音の中に溶け込んでいくようだ。

あまりに違和感なく聴こえてくるので一瞬スルーしそうになったが、RAYJIはその激しいスラップ奏法を行いながら、当たり前のように歌い続けている。

歌のピッチがブレることもなく、もちろん手元の軸がブレることもない。なんという演奏能力の高さなのかと心から衝撃を受けた。

その後サビまで続いた安定的なスラップは、ハイハットの細かいビートにきっちりリンクしていて美しい。

ベースから手を離してオーディエンス1人1人と目を合わせながら手拍子を煽る彼の姿からは「オーディエンスと音楽を楽しみたい」という、RAYJIの強い想いが感じられた。

Get Ready

2曲目はEDM調のロック「GET READY」。

軽快なドラムの4つ打ちにつられて、自然とオーディエンスが両手を挙げて手拍子をし始めた。間奏では「THE UNIVERSE」よりもさらに激しいスラップが入る。

全身でリズムを取りながら演奏するRAYJIの姿は、まるでDJがターンテーブルを回しているかの様だ。

「You can release your power. Don’t bottle up your feelin. / 力を解き放って 感覚を閉じ込めないで」という歌詞を体現するかのように、彼自身が自由を手に入れた鳥のように心から楽しそうにベースを弾いていた。

RAYJIのベースの音は芯があって硬いのに、やわらかな響きがある。矛盾しているように感じるが、これ以外の表現が思いつかない。

1曲を通して続く低音とビートが癖になってくる。クラブのような感じで会場がひとつになり、皆が徐々にハイになり、終わらないでほしいと感じてしまうほどに心地良い。

2曲目が終わると、MCを挟んでそのままベースソロへ。バックの演奏が皆無の中、ベースの音だけがそこに響き渡る。

「なんて弾きにくそうな音で演奏しているんだ」

驚くほどに彼の出音(でおと)は、いわゆる機材などでごまかさない【正直な音】だった。

正直な音で演奏すると 他の楽器の音に埋もれにくい、いわゆる【抜けの良い音】を作りやすくなるが、その分ごまかしが利かないため 高い技術力が問われる。

歌いながらあれだけ難しいフレーズを弾いていた彼だからこそ、当然といえば当然だが、ベース・ソロで堂々と愛器を弾きこなすRAYJIに対して心から尊敬の念を抱いた。

ドラムがところどころでアシストする中、親指のみを使った高速フレーズに切り替えたり、長く音を伸ばしてオーディエンスへの焦らしを演出したりするなど、テクニカルなソロ・パフォーマンスを見せつけた。

Euclid Ave.2022

ベース・ソロの後に始まったのは「Euclid Ave.2022」。

変わらずRAYJIの右手から目を離せない。印象的なシンセのフレーズが耳にこびりつく。左脚を軸にした艶めかしいステージングで、身体で音を表現しているようだった。

目を閉じるとボーカリストとベーシストがいて、それぞれ激しいステージングをしている様が思い浮かぶ。視覚と聴覚がリンクしない、躍動感のあるハイレベルなステージだ。

しかも、ただベースを弾き倒しているだけではない。ボーカルラインを際立たせたいところでは、バックに徹したビートを刻むなど「引く」ところは引き、「弾く」ところは弾く。

あくまで楽曲の良さを最大限に引き出そうとする姿勢に、音楽に対する誠実さを感じた。

The hill where
I can see the sun

エモいクリーンギターと共に「I heard the whisper of the shining stars…as if they were sung by Jesus… / 星達の囁き声を聞いたんだ それは音楽の神様が歌っているようだった」と、切なくセクシーな歌声が聴こえてくる。

オケで流れているギターがソロを弾いているのかと思ったら、彼がハイフレットを使って余韻のある響き=サステインを奏でていた。そこに入る激しいドラムが気持ちよく絡み合う。再び4弦ベースとは思えぬ表現力の豊かさを見せつけられる。

ただ、ベースに意識を奪われがちだが、この曲のボーカルラインはかなりハイな音域が多い。流れる汗と攻撃的なRAYJIの表情にも惹き込まれた。

5曲目は「FACE THE MUSIC」。ドラムの軽快な裏打ちへきっちりとリンクした芯のあるオクターブ奏法。オーディエンスが自然と体を揺らし、手拍子をする。

この曲では前のステージでパフォーマンスをした 直道ACT ONE AGEも登場し、RAYJIとのセッションを披露した。

YOU DO YOU

「The next is the last song!」という彼の声に、もう終わり?と感じる。

目が左手に追いつかないくらい早いスラップ奏法が始まった。そして驚くことに、彼はそのままAメロを歌い出した。一体どうなっているのか、彼の身体は。

ベーシストとボーカリストの役割を同時に果たすRAYJIだが、彼の中にはその2人の他に、リズムを刻む「ドラマー」と音の広がりを創る「ギタリスト」計4人のプレイヤーが共存しているかのようだ。

ソロではギターを弾くように、打楽器を鳴らすように、ベースを弾くRAYJI。

彼のステージは、本当に多彩で多様、様々な音が飛び出す万華鏡の様な、一瞬も目が離せない一流の「エンターテインメント」だ。

計6曲の演奏を終え、彼は流れる汗をそのままに、達成感に満ち溢れた表情でマイクへ向かい、オーディエンスへの感謝の気持ちを語った。

哀しみのこもった歌詞も含め、RAYJIのライブからは、彼の心の中にある溢れ出そうなエネルギーの放出を感じた。

事前にリリースされた音源を聴いていたが、RAYJIのライブはリリース音源とは全くの別物だ。

同期=事前に用意した伴奏音源がふんだんに使用されている楽曲は、同期を使用しない生演奏のみのステージに慣れている音楽ファンからは、しばしば「リリース音源通りでつまらない」「ライブ感がなくなる」などの評価を受ける傾向がある。

しかしRAYJIのライブは、リリース音源とは本当に別物。一般的なロックコンサートでは体感できない、迫りくる低音と常にリスナーの耳を惹きつけるド派手な奏法は、唯一無二の価値がある。

ライブ終了後

ステージを観ていて気になった、彼のベースはナゼあんなにもサステインが持続するのか、どんな技を施しているのか尋ねたところ、「あれはシンプルに指の力ですね」という回答が返ってきて驚愕した。

機材の力に頼らずあれほどのサステインを生めるとは、どれだけの練習量をこなしているのか。にこやかで人当たりの柔らかい姿からは想像できない、ストイックさを感じた。

加えて、なぜステージ上の音にあんなにも広がりがあるのかと尋ねると、理由の一つとして「ベースアンプとギターアンプの併用」を明かしてくれた。

ところどころでアンプを併用することで、物理的に出る音の種類と間口を増やしているというのだ。「元々はアンプ3台使ってたんですけどね」

だから今はそうでもないですよ、と笑うRAYJIを見て、改めて彼の音楽に対する誠実さと、こだわりを強く感じた。

3月13日 渋谷DESEO
RAYJI Set List

  1. THE UNIVERSE
  2. GET READY ~MC・Bass Solo~
  3. Euclid Ave. 2022
  4. The hill where I can see the sun
  5. FACE THE MUSIC
    ※Session with 直道、ACT ONE AGE
  6. YOU DO YOU

2023年8月 O-WESTにて
ワンマンライブ開催

RAYJI ONEMAN SHOW

  • 開催日
    2023年8月10日(木)
  • 時間
    OPEN 18:00 START 19:00
  • 会場
    渋谷Spotify O-WEST
  • チケット
    発売中
    https://t.livepocket.jp/e/rayji_o-west
  • チケット料金
  • プレミアムチケット
    10,000 円+Drink 
    ※ペアチケット、特典付(メモリアルチケット、リハーサル見学、T シャツ、2ショット撮影、トレカ、他)
  • ペアチケット
    6,000 円+Drink
    ※ペアチケット、特典付(メモリアルチケット、トレカ、他)
  • 一般チケット
    4,000 円+Drink
  • 詳細
    http://www.a-linemusic.com/rayji_o_west/

2023年2月リリース「THE UNIVERSE」
https://ingrv.es/the-universe-mev-o

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おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/