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ライブでの痴漢について ~Nothing without Women vol.2

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表舞台に出る人、裏方を務める人 問わず、主にエンタメ業界で活動する女性に焦点を当てた連載コラム「Nothing without Women」の第2回。今回はライブ会場での痴漢について触れたいと思います。


ライブ会場での
痴漢被害について

楽しみにしていた好きなアーティストのライブやコンサートを楽しんでいる最中に、不意に自分の身体に触れられる。

その時に芽生える感情は、場所を問わず先ずは「これは性的な事を目的とした接触か否か」ではないでしょうか?

「たまたま当たった?」「偶然?」「勘違い?」しかし、その疑惑が確信に変わる時があります。「これは絶対に偶然でも勘違いでもない」その時の不快感たるや否や。

加えて誰がやっているのかの特定、この人で間違いないか?対処をするにもどうするのが適切か?場所を離れるか、抗議の声を上げるか、反撃するか。

でも抗議の声を上げたり反撃した場合、仕返しされたらどうしよう….そんな想いが頭の中を駆け巡る…

ましてや、好きなアーティストやバンドのライブ中であれば、自分が声を上げる事が全体に対して迷惑にならないか、会場の雰囲気に水を差すのではないか…

楽しいはずの時間なのに、身体を触られた事の不快感に加えて、そんな不安まで背負いこむことになります。

ここ数年、ライブやコンサート、フェス会場等で痴漢被害にあったと言う声は、ソーシャルメディア等を通じて広まっており、アーティスト側も「痴漢をされたら色々と気にせず声を上げて欲しい」と言うメッセージを発信しています。

礼賛 の ライブ会場での
痴漢トラブル

そんな中、2025年3月16日大阪・なんばHatchでおこなわれた礼賛ライブにて、痴漢行為にあった事を訴える観客からのXへの投稿が多くの人の関心を集めました。

現在、3月17日にポストされた観客の方の投稿は削除をされていますが、そこには痴漢行為があったこと、および声を上げた後の会場スタッフの対応の酷さも書かれていました。

これに対して礼賛は、3月18日に声明をソーシャルメディアで発表しました。

3月16日、なんばHatchでバンド・礼賛公演中の痴漢行為を受けて礼賛メンバーが謝罪「礼賛スタッフはきちんと味方になってくれた」(2025年3月18日 Togetter)

イベンターの対応
及び 声明文

筆者は礼賛が声明を発表したあたりで、この騒動に気づき被害に合われたと言う方のXの投稿も読みました。

痴漢行為があったか否かは、被害者を信用しない訳ではありませんが、なんとも言えないな…と言うのが正直な感想でしたが、その後の会場スタッフの対応が事実であれば、被害者に寄り添わない数々の発言含め「どういうこと?」とも思いました。

そして、それに追い打ちをかけたのが3月19日に会場を運営していた会社 キョードー大阪とキョードー関西が発表した声明文及び対応でした。

一連の対応について

この一連の対応について、Onigiri Mediaでは運営に関わるスタッフ全員によるオンライン・ミーティングを急遽実施。

様々な形で長らく音楽/エンタメ業界に関わっているメンバー達からも「キョードー大阪とキョードー関西の声明文及び対応は、全くもってあり得ない」と言った声が上がりました。

2025年3月19日に発表した声明文の中で、キョードー大阪とキョードー関西は 一般社団法人コンサート・プロモーターズ協会(A.C.P.C)が策定したライブ・エンタテインメント約款 第5条(入場者間のトラブル)に従い対応をしたと、被害にあわれた事を訴えた観客の方の投稿を無断引用した箇所にて回答していました。(現在、その部分は声明文から削除されています)

A.C.P.Cの約款・第5条には「主催者は、公演会場内における入場者間のトラブルについては一切責任を負いません。」と書かれています。

痴漢は「犯罪」です。実際に痴漢行為が有ったか/無かったかも含めて、警察による取り調べや司法による判断が必要な事案であり、単なる入場者間のトラブルではありません。


キョードー大阪とキョードー関西は、3月22日に痴漢被害を訴えた観客の方が該当投稿及びXのアカウントを削除した事を受け「引用元の消失ならびに不適切な引用方法であったため」との理由を記載した上で、3月19日に発表した声明文から該当箇所を削除。

また同文章にて「被害を申告された方に寄り添うにはほど遠い印象を与える表現があった」と、被害を訴えた方を含め、公に謝罪を表明。「再発防止に努める」と結んでいます。

コロナ禍の時、イベント業界は大きな被害を受けた他、コロナ禍以降もリアルなイベントに足を向ける人が減った時期もありました。

ライブやコンサート、フェスはもちろん、全ての公演及びリアルイベントは来場してくれるお客様が居なければ成り立ちません。

好きなアーティストの音楽を楽しむ為にお金を払って足を運んでくれる人々が、安心して楽しめる環境を提供する事は、アーティスト側だけではなく、コンサート業界全体で取り組むべきことです。

性別を問わず、来場した人全員が犯罪行為にあわず、不快な思いをせず、安心安全に好きなものを全力で楽しめる環境を実現するのは、痴漢だけではなく例えばチケットの不正転売(ダフ屋行為)や不正録音/録画等 様々な問題がある為、簡単でない事はわかります。

しかし、演者だけではなく、公演に関わる全ての人々や組織が「犯罪行為は許さない」と言う意識を共有し、撲滅に努めると共に、断固たる意志を示すのは難しい事でしょうか?

再度書きますが、痴漢は「犯罪」。単なる「入場者間のトラブル」ではありません。

今回の様な事態が起きた事を踏まえると、アーティスト側だけでなく、コンサート事業者も犯罪行為である「痴漢撲滅」に向けた対策はもちろん、その姿勢を公にて見せる必要はあるのではないでしょうか。

そう言った行動及び声明を出す事により、今回の件で不信感や不安感を抱いた人々や、これからライブやコンサートに足を運ぶ人々の印象や意識も変わると思うのですが…。

皆さんはどう思われますか?

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おにぎり1号・Tomoko Davies-Tanaka
Onigiri Media メイン・ライター おにぎり1号こと Tomoko Davies-Tanaka (Team Little-Big) は、フリーランスPRエージェント。海外⇔国内、英語⇔日本語業務を中心に、スモールビジネスのPR業務のサポート他、コーディネーションやブッキングも行っています。 インタビュー記事 https://ledgeweb.com/740/